トップページへ  農業機械の安全装備   単軌条運搬機   農業機械の各種安全装備をシリーズで解説します。

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単軌条運搬機
  【その1】
  【その2】
  【その3】
  【その4】

※本ページでの農業機械安全性検査に関する記述は、基本的に2018年基準をベースとしています。

【 その1 】 単軌条運搬機とその装備するブレーキ
 空中に架設された一本のレール上を走行する、いわゆるモノレールは鉄道や遊園地だけではなく、工事現場や農作業現場でも採用され、特に農業用途では果樹園等での運搬作業を中心に、幅広く利用されています。
 農用のモノレール(以下、単軌条運搬機)には非乗用型と乗用型があります。非乗用型の機械は動力車であるけん引車と荷物台車から構成され、人が乗るための座席は設置されておらず無人での走行が前提です。発進は地上の作業者が発進停止レバーを発進側に倒すことで行い、停止は軌条(レール)に設置した停止稈(ストッパー)により発進停止レバーを停止側に戻すことで行います。乗用型の機械はけん引車と荷物台車の間に、傾斜に応じて角度を変えられる座席を備えた乗用台車を連結しており、停止稈による自動停止だけではなく、運転者が任意の場所で手動停止させることができます。
 単軌条運搬機は急傾斜地で作業を行う場合が多く、万が一の暴走等を防ぐための安全対策として、けん引車には駐停車ブレーキ・降坂ブレーキ・緊急ブレーキが、乗用台車にも駐停車ブレーキ・降坂ブレーキが装備されています。
 農業機械安全性検査では、規定される条件の下でブレーキの性能試験を行っています。

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【 その2 】 降坂ブレーキ
 単軌条運搬機は、降坂時の制動を主にエンジンブレーキにより行っており、この補助として降坂ブレーキが働いています。降坂ブレーキは、けん引車や乗用台車に装備され、遠心力によりブレーキシューがブレーキドラムに押しつけられる構造になっています。何らかのトラブルでエンジンブレーキの効きが悪くなった場合には、若干の速度上昇が生じて降坂ブレーキの制動力がより高まり、速度をほぼ一定に保つ役割を果たします。
 農業機械安全性検査では、規定の軌条傾斜角度、積載量において降坂ブレーキの性能の確認(降坂ブレーキのみ作動で、降坂速度1.0m/s以下や、少なくとも5分間は速度1.0m/s以下に保てること)を行っています。なお、エンジンブレーキを作用させず(エンジンをかけず)に降坂ブレーキのみで降坂した場合、降坂ブレーキが過負荷状態であるため、過熱によりブレーキが効かなくなったり、焼損したりする恐れがあるため、絶対に行わないようにしましょう。

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【 その3 】 駐停車ブレーキ
 単軌条運搬機の駐停車ブレーキは、けん引車及び乗用台車に装備されるもので、走行状態からの停止と停止状態を保持する2つの役割があります。
 けん引車の駐停車ブレーキは発進停止レバーと連動する構造になっており、レバーを発進状態にすると解除され、停止状態にすると制動力を発生します。
 乗用台車の駐停車ブレーキは、運転者が安全上などの必要性を感じたときに停止に用い、運転者がブレーキレバーを引くことで作動し、同時にエンジンも止める構造になっています。なお、保管時には不意に車体が動き出すのを防止する役割も果たします。
 農業機械安全性検査では規定の軌条傾斜角度、積載量において駐停車ブレーキ性能の確認(けん引車:最大積載状態での降坂制動距離1m以内、乗用台車:作動が良好であること、など)を行っています。
 けん引車に装備される駐停車ブレーキは特に、作業時に常用するもので安全な運行に欠かせません。取扱説明書に記載されている通りの制動力が確保されているか、常日頃から点検を怠らないようにしましょう。

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【 その4 】 緊急ブレーキ
 単軌条運搬機の緊急ブレーキは、主にけん引車に装備されるもので、車体の異常等により速度が一定限度を超えると作動して車体を停止させます。  緊急ブレーキは遠心力により作動する構造になっており、駐停車ブレーキを利用するものと、専用のブレーキを持つものがあります。駐停車ブレーキを利用するものは、速度の上昇により緊急ブレーキロータが回転し、飛び出した爪などにより発進停止レバーを停止状態に戻す構造になっています。専用のブレーキを持つものは、速度の上昇により緊急ブレーキロータから爪が飛び出し、車体フレームに設けられたストッパーと当たることでロータの回転が止められ、車体が停止する構造になっています。
 農業機械安全性検査では、緊急ブレーキ性能の確認(乗用型では作動時速度が1.5m/s以下であること、ブレーキの作動を9回繰返し破損の無いことを確認など)を行っています。
 緊急ブレーキが作動した場合は車体に不具合が発生している場合が多く、ブレーキを解除してそのまま運転を続けると非常に危険です。また、緊急ブレーキは複数回作動させることを想定した造りにはなっておらず、何度も作動させるとブレーキが破損し、車体を停止させることができなくなり極めて危険です。緊急ブレーキが作動した場合は早急に販売店へ連絡をし、点検を受けるようにしましょう。

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