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バイオ燃料変換技術研究開発

農研機構
バイオマス研究センター
食品総合研究所

平成20年度 研究成果報告

生物学的処理を基本とする前処理技術の可能性検討

東京大学 大学院 農学生命科学研究科 森林科学研究室

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研究紹介

Trichoderma菌が種々バイオマスを炭素源として成長するときに生産する菌体外酵素のセクレトーム解析

図1 菌体外タンパク質のSDS-PAGE

図1 菌体外タンパク質のSDS-PAGE
1 微結晶セルロース  4 稲わら
2 コットンセルロース 5 ポテトパルプ
3 サトウキビバガス  6 シュガービートパルプ

図2 サトウキビバガス培養ろ液の二次元電気泳動
図2 サトウキビバガス培養ろ液の二次元電気泳動

Trichoderma菌は、セルロース系バイオマス変換用酵素の生産で最も盛んに使われている子嚢菌である。本菌が生産する菌体外タンパク質にはセルラーゼの他にも、植物細胞壁の分解に関与する様々な酵素が含まれているが、種々のソフトバイオマスを炭素源として成長させたときに、それらがどのようなパターンで生産されるのかという情報はほとんど無い。

そこでソフトバイオマスを炭素源としてTrichoderma菌を培養し、得られた菌体外タンパク質を電気泳動に供し、部分アミノ酸配列からタンパク質の同定を行った。その結果純粋なセルロースを基質として用いた場合と比較して、稲ワラやサトウキビバガスを炭素源とした培養ではヘミセルロースの分解に関与する酵素の生産量が多くなっていることが分かった(図1)。

さらにサトウキビバガスを炭素源としてTrichoderma菌を培養し、得られた菌体外タンパク質を二次元電気泳動に供し、セクレトーム解析を行うことにも成功した(図2)。