平成２０年度　研究成果報告

草本系原料の総合的変換技術開発

（独）農研機構　食品総合研究所　食品工学研究領域　製造工学ユニット
（独）農研機構　食品総合研究所　食品素材科学研究領域　糖質素材ユニット
（独）農研機構　食品総合研究所　食品工学研究領域　反応分離ユニット
（独）農研機構　食品総合研究所　食品工学研究領域　流通工学ユニット
（独）農研機構　東北農業研究センター　寒冷地バイオマス研究チーム
（株）三菱総合研究所 地球環境研究本部　地球温暖化対策研究グループ
秋田県農林水産技術センター 総合食品研究所　環境・食品安全グループ
東京大学 大学院　農学生命科学研究科　森林化学研究室
東京大学 大学院　農学生命科学研究科　生物素材科学研究室

草本系バイオマスの糖化に最適な物理的前処理技術の開発と併用可能性の検討
稲わらの希硫酸前処理によるマテリアルフロー
生物学的処理を基本とする前処理技術の可能性検討
資源作物（ホールプラント）の分画処理技術の検討及び最適化
稲わら直接糖化におけるCellulase製剤に対するHemicellulase製剤の添加効果
草本系ヘミセルロース・ペクチン等の効率的糖化技術の開発
糸状菌セルラーゼによる結晶性セルロースの分解様式
微結晶セルロースから調製した各種セルロースII型結晶の酵素糖化率
糖化プロセスの効率化のための総合的反応システムの開発
OH濃度を揃えたアルカリ前処理効果の比較
稲わらの希硫酸、アンモニア、水酸化カルシウム前処理による糖化反応までのマテリアルフロー
水酸化ナトリウム前処理稲わらの組織構造および元素分析
原子間力顕微鏡（AFM）によるセルロースミクロフィブリルのセルラーゼ分解挙動解析
発酵阻害成分解析および影響最小化のための条件検討
糖化物の効率的発酵プロセスの開発と評価
各技術のコスト・エネルギー効率およびLCA評価
各技術のコスト・エネルギー効率及びLCA評価（システムの評価）

概要

1.5万キロリットル規模でのエタノール製造コストを100円/リットル程度またはそれ以下にするため、稲わら、麦わら、テンサイ、バレイショ、カンショ、ソルガムおよびサトウキビを原料とし、その特性に対応した変換技術を最適化する。その後、統合プロセスを構築する際の各検討要素の問題点を解析し、その解決方法を見出すとともに、ラボスケールで統合プロセスを完成させる。

稲わら茎葉中に存在する主要な
易分解性糖質（模式図）

でん粉粒を蓄積した稈部の
走査型電子顕微鏡写真

稈部の風力選別法の概要

【主要成果】
稲茎葉部の稈部に多くの易分解性糖質（でん粉、ショ糖等）が濃縮されている現象に注目し、稲わら稈部のみを原料とし、六炭糖のみを利用するエタノール変換技術を提案。本法により、酸・アルカリなどを用いた高度な前処理を行わず、ワンバッチでの糖化・発酵が可能。また、稲わらの粉砕物から、稈部と葉鞘・葉身部を風力選別する方法を開発し、稈部に存在する易分解性糖質の80%相当量を回収。