平成20年度 研究成果報告
糸状菌セルラーゼによる結晶性セルロースの分解様式
(独)農研機構 食品総合研究所 糖質素材ユニット
研究紹介
50 mMクエン酸緩衝液に終濃度セルロース試料 1 mg/ml, 糸状菌由来セルラーゼ 1-200 ug/ml, になるように添加し、50℃で酵素反応を行った。
草本系セルロースは強固な結晶構造(セルロースI型)をとっており、酵素糖化の際の反応時間が長いことが実用上の大きな問題となっている。しかしながら、高度結晶性セルロースの詳細な分解様式はまだ明らかとなっていない。そこで、糸状菌由来のセルラーゼによる高結晶性セルロース(結晶型Ib)の分解様式の解明を試みた。
糸状菌由来のセルラーゼによる、高結晶性セルロース分解時の還元末端数の変化を測定することで、高結晶性セルロースの分解様式を推測した。
種々のセルラーゼ製剤を用いたところ、いずれの場合でも還元末端数の減少パターンは、Trichoderma reesei Cel7A単独での場合とほぼ同一であり、エキソ型セルラーゼの重要性が示唆された。また、T.reesei 由来Cel7AとCel6Aを組み合わせた場合のみ、他と異なるパターンが得られ、エキソ-エキソ相乗効果が示唆された。