平成20年度 研究成果報告
稲わら直接糖化におけるCellulase製剤に対するHemicellulase製剤の添加効果
(独)農研機構 食品総合研究所 糖質素材ユニット
研究紹介
50 mM 酢酸緩衝液 1 ml 中に稲わら微粉砕物 50 mg、セルラーゼ製剤(Novozyme社製) 0.432 mg、ヘミセルラーゼ製剤(Sigma社、Novozyme社製) 0.143 mg を添加し、50℃でインキュベートした。
現在、稲わらの細胞壁を糖化する際には、酵素糖化効率を向上させるために様々な前処理が行われているが、高でん粉蓄積稲わら等の原料は、大量の易分解性糖質を含み、酸・アルカリ等による過激な前処理を行うことは得策ではないと考えられる。そこで、稲わらの直接酵素糖化を目指し、化学的な前処理を施していない稲わら粉末を基質として、セルラーゼ製剤存在下でのヘミセルラーゼ製剤の添加効果の評価を行った。
稲わらにセルラーゼ製剤と様々なヘミセルラーゼ製剤を作用させ、遊離キシロース量を測定したところ、セルラーゼ製剤のみの場合には総キシロース量の 17.5%のキシロースの遊離が見られたが、ヘミセルラーゼ製剤Aを添加した場合に36.8%に上昇した。また、セルラーゼ製剤のみを、2 倍、4 倍量添加した場合には、キシロース遊離量はそれぞれ 20.8%、23.9%となり、単純にセルラーゼ製剤の添加量を増やすよりも、適切なセルラーゼ製剤を組み合わせることでより効率的にキシロースを遊離させることができた。