平成21年度 研究成果報告
セルラーゼのオンサイト生産技術の確立
日本大学 生物資源科学部 農芸化学科

概要
草本系バイオマスを用いたバイオエタノール生産において、安価で効率的な糖化酵素の供給が求められています。
このためには、高生産セルラーゼやヘミセルラーゼの探索・改良を進め、実用可能な生産技術を確立することが必須です。
そこで、高いセルラーゼ生産能力を持つTrichoderma reesei ATCC66589株を用いて、
培養条件を種々検討し、菌株の改良を進めています。
また、イナワラ等の草本系バイオマスに多く含まれるヘミセルロースの効率的な利用を行うため、ヘミセルラーゼ活性の強い Humicolaの培養条件と機能を明らかにし、Trichoderma セルラーゼと組み合わせることで、より効率的なイナワラの糖化分解を目指します。
- T.reesei ATCC66589株を用い、結晶性セルロースをC源として2Lジャーファーメンターでセルラーゼ生産条件の検討を行い、333 FPU/gC6の力価を示す培養条件を得ました(図1)。

図1. 2Lジャーファーメンターを用いたセルラーゼ生産培養条件の検討
- 培養開始72時間までのセルラーゼ活性と溶存酸素量、pH及び糖組成を経時的に測定した結果、溶存酸素量がセルラーゼ生産に関与していることを示唆する結果が得られました(図2)。

図2. 培養開始72時間までの溶存酸素量、pH、糖組成およびセルラーゼ活性
H. insolens ATCC26908株は一般的な培地条件による培養ではペレットを形成し、安定した酵素生産を行うことが困難でした。 そこで、C/N比、分散媒等の培養条件を種々検討し、大豆かすをN源とした培地組成で良好な分散培養条件を得ました。