平成22年度 研究成果報告
バイオマスの熱分解による燃料ガス生産技術の高度化
バイオマスの熱分解ガス化およびC1化学変換によるメタノール・エタノール合成
・Eチーム(農研機構 中央農業総合研究センター バイオマス資源循環研究チーム長 薬師堂謙一)
木材や稲わらなどの非食用バイオマスを、浮遊外熱式ガス化法で熱分解することにより、水素:一酸化炭素=2:1の
高カロリーガスが得られ、ガス化発電に利用できると共に、触媒によりメタノールやエタノールを効率的に生産できるシ
ステムが開発されました。また、ガス化発電+メタノール合成については250kW規模の実用機展開に入りました。
バイオマスガス化発電・C1化学変換コンバインドシステム
・E010
長崎総合科学大学 工学部 村上信明、人間環境学部 坂井正康、
(独)農研機構 中央農業総合研究センター バイオマス資源循環研究チーム 薬師堂謙一、
(独)農研機構 九州沖縄農業研究センター 九州バイオマス利用研究チーム 田中章浩
草本系バイオマスで灰分10%以上、灰の融点が1000℃以下のものについてもガス化できるようガス化反応炉を改良した結果、
灰融点900℃のソルガム原料でも連続してガス化でき、目標の水素50%以上かつH2/CO比2以上の良好なガス組成が得られました。
ガス精製については、前段で安価な活性炭・液洗浄を行い、後段で最小不純物のみを吸着剤PSA処理により、精製コストを前年の
1/2〜1/3に圧縮でき、炭酸ガスも除去されることからメタノール収率が向上できました。250kW級プラントでコスト評価した結果、
原料価格8.5円/kgで廃熱を重油価格相当で利用した場合、初期目標の発電単価17円/kWh、メタノール生産コスト50円/Lが実現できる
見通しが得られました。
バイオマスガスからの直接エタノール変換システムの開発
・E030
積水化学工業株式会社 R&Dセンター 土山和夫、南孝幸、
東京農業大学 総合研究所 市川勝、
長崎総合科学大学 人間環境学部 坂井正康、工学部 村上信明、
(独)農研機構 中央農業総合研究センター バイオマス資源循環研究チーム 薬師堂謙一
RhMnZr、RhMgLi、RhMoMn系触媒を試作し小規模反応試験の結果、改良触媒系においてCO転化率とエタノール収量が1.5−2倍向上
できました。加圧・循環システムと高効率気液分離器・過昇温抑制システムを組み入れたエタノール直接合成システムの改良設計
と試作を行い、反応管内を3回循環で反応させることにより、CO転化率32−45%、エタノールSTY:420−565g/L-cat/h、エタノール
選択率70−85%という高レベルの反応成績が得られました。バイオマス投入量250kg/hr級でガス化発電とエタノール直接合成システム
との一体型システムの設計評価を行った結果、エタノール生産量1,186L/日、原料価格8.5円/kgで廃熱利用を行った場合、エタノール
生産コスト100円/L、発電単価17円/kWhを達成できる見通しが得られました。