果実類のカロテノイド含有量における品目間差

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要約

食品から摂取できる主要カロテノイド6種(α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン、リコピン)を中心に、51 品目( 145 点)の果実における含有量の品目間差・品種間差を示す。

  • キーワード:果実、カロテノイド
  • 担当:果樹研・カンキツ研究部・上席研究官、品質機能研究室
  • 連絡先:成果情報のお問い合わせ
  • 区分:果樹・栽培
  • 分類:行政・参考

背景・ねらい

果実は健康機能性成分の供給源として重要な食品群の一つである。わが国では多種類の果実が食されているが、それらの機能性成分含量を網羅的に調べた例は少ない。更に、個々の果実には多くの品種があるが品種レベルにまで踏み込んで機能性成分含量を調べた例は全くない。そこで、果実からの摂取が期待される最も重要な機能性成分であるカロテノイドを対象に、国内で消費されるほとんどすべての果実、主要な品種について組成・含有量を調べ、供給源としての重要性を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • カロテノイド供給源として重要(概ね 0.5mg/100g 生重以上)と思われた果実はウンシュウミカン、ポンカン、カキ、モモ(黄肉品種)、アンズ、プラム類、マンゴー、パパイア、スイカ、メロン(紅肉品種)、グレープフルーツ(紅肉品種)、ビワである(表1)。
  • これら果実からの摂取が期待されるカロテノイドはβ-カロテン(カキ、モモ(黄肉品種)、アンズ、プラム類、マンゴー、メロン(紅肉品種)、ビワ)、β-クリプトキサンチン(ウンシュウミカン、ポンカン、カキ、モモ(黄肉品種)、ビワ、プラム類、パパイア)、リコピン(スイカ、グレープフルーツ(紅肉品種))、ゼアキサンチン(一部のモモ品種)であり、α-カロテン、ルテインについては一部の果実に少量含有されているだけである(表2)。
  • 6種以外のカロテノイドでは‐カロテンがパッションフルーツ、アンズに、フィトエンがアセロラに高含有である。
  • カロテノイド高含有品目では、品種や栽培時期による含量あるいは組成の差は著しく大きい。

成果の活用面・留意点

  • これまで、果実のカロテノイドの種類別含有量についての情報は国の内外を問わず質量とも極めて限られていた。今回、国内市販果実のほぼすべてについてカロテノイド組成・含有量を網羅的に測定し、品種間差等を含めて詳細に明らかにしたことで、果実摂取の意義解析、栄養指導面等への活用が期待できる。
  • 本情報では成果の概要しか報告できないが、個々のデータ(品目別・品種別・収穫時期別)については、将来ホームページ等で閲覧可能とする予定である。

具体的データ

表1.主要6種カロテノイドの含有量による分類

 

表2.主要6種のカロテノイドに富む果実

その他

  • 研究課題名:リモノイド類のカンキツにおける含有量測定とデータベースの作成
  • 課題ID:09-02-06-*-09-02
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2001 ~ 2002 年度
  • 研究担当者:矢野昌充、生駒吉識、加藤雅也、杉浦実、松本光、吉田俊雄、根角博久、田中敬一、山田昌彦、
                      佐藤明彦
  • 発表論文等:1)矢野ら (2002) 日本フードファクター学会 第7回学術集会 講演要旨集 2.