水稲の乾田部分耕移植技術

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要約

不耕起の乾田圃場に水稲を直接部分耕移植する技術を開発した。耕耘・代かきが省略できると同時に、移植後入水するので、入水後田植えする従来の湛水部分耕移植より広範な圃場に対応できる。

  • 担当:農業研究センター・機械作業部・水田農作業研究室
  • 連絡先:0298-38-8904
  • 部会名:作業技術
  • 専門:作業
  • 対象:稲類
  • 分類:研究

背景・ねらい

不耕起圃場に入水後、部分耕起と田植えを同時に行う湛水部分耕移植技術は、入水後トラクタの走行性が悪化する圃場では対応が困難であった。このため、乾田状態で田植えを行いその後入水する乾田部分耕移植技術を開発し、部分耕移植技術の適応範囲を拡大するとともに、春作業の労力分散を図ることを目的とした。

成果の内容・特徴

  • 乾田部分耕移植を行うための田植機は、トラクタに部分耕ロータリと田植機の植付部、植付爪洗浄装置(水タンク、ポンプ、洗浄ノズル)を装備したものを用いる(図1)。
  • 乾田部分耕移植の作業方法は、まず、雑草の多い水田では田植え前に除草剤を散布して雑草を取り除く。次に、本田植機を用いて、施肥、部分耕、田植えを同時に行い、田植え後できるだけ早く入水を行う。
  • 収量は慣行移植と大差ない(表2)。
  • 本田植機は、そのままの状態で従来の湛水部分耕移植ができる。

成果の活用面・留意点

  • 田植機は、植付爪を洗浄しながら田植えを行うので、田植えには10a当たり約100リットルの水が必要となる。また、水による洗浄は、植付爪1つにつき10ml/s以上の水を勢い良くかけることが望ましい。
  • 乾田部分耕移植において高い植付精度を維持するためには、部分耕時の砕土率が高いこと、マット苗の根張りが良いことが条件になる(表1)。
  • 田植え前の除草剤散布の代わりに圃場を耕耘しても良い。
  • 田植え後、できるだけ早く入水を行うことが望ましいが、特に炎天下の強風時は植え付けた苗が傷むことが考えられるので、なるべく作業を避ける。
  • 漏水田での適用は避ける。

具体的データ

図1 田植え作業状況

表1 移植精度

表2 収量および収量構成要素

その他

  • 研究課題名:部分耕乾田水稲移植技術の開発
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成6年度(平成3年~6年)
  • 発表論文等:水稲の部分耕乾田移植技術の開発、第53回農業機械学会年次大会講演
                      要旨、1994