花き研究所

花き病害図鑑

萎凋細菌病(イチョウサイキンビョウ)

Bacterial wilt(細菌)

植物名: アスター(エゾギク、翠菊) キク科 Callistephus chinensis
病原菌: Dickeya sp.,=Erwinia chrysanthemi
病徴写真

萎凋株の発生状況

地際部の黒色病斑
病徴:

はじめ地際部の茎が黒変し、茎を一周する程度に腐敗する。病斑は地際部がら上葉へ進展し、葉柄にも黒色病斑が形成されてくると先端の葉が萎れてくる。萎れが起こると株の生育は停止し、草丈が低くなる。病斑は茎の表皮を変色させるが、髄部が黒色になることはまれである。激しく発病すると地際部の茎が病斑から崩壊し、株全体が萎凋・枯死する。

発生時期:

7~8月

発生場所:

露地

備考:

病原細菌は他の作物で保菌した塊茎(ジャガイモ)、根茎(ヤーコン)や親株(キク)などから伝染することが知られている。アスターは種子で栽培するため、伝染源が汚染種子によるものどうかは不明である。アスター自体は感受性であることから、他の作物(キクなど)から病原細菌が運ばれ、感染する場合も考えられる。高温多湿条件を好み、夏季の高温年で多灌水をし、ハウスを高温条件下で管理すると発病株から隣接株へ次々と感染する。品種で発病程度は異なるが、抵抗性品種は明らかでない。病原菌名はErwinia chrysanthemiから表記に変更された。

文献:

Komatsu, T. et al.: J. Gen. Plant Pathol. 68(1):105, 2002 岡部徳夫:植物細菌病学 340,1949, 上住 泰・西村十郎:原色花の病害虫153,1975

外部サイト:

日本植物病名データベース

記述者:

木口忠彦(道花野セ)、築尾嘉章(花き研)


記載日: 2012年2月2日

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