花き研究所

花き病害図鑑

軟腐病(ナンプビョウ)

Bacterial soft rot(細菌)

植物名: イリス類 ユリ科 Iris spp.
病原菌: Erwinia carotovora subsp.carotovora
病徴写真

アイリスの葉身の軟化腐敗

アイリスの球根の軟化腐敗

ダッチアイリスの軟腐病、地上部の枯死

ダッチアイリス軟腐病、地際部茎が水浸状に腐敗
病徴:

はじめ地際部の葉鞘が褐色で水浸状に腐敗して、これが進展し、球根や根茎に達する。葉身にも腐敗が進行し、葉全体が黄化して、枯死する。葉鞘の合わせ目や葉縁の軟化腐敗部は繊維状となって、裂ける場合がある。また、出芽直後に感染すると出芽葉の生長が停止し、地際部から褐変が進み、枯死する。球根部では、葉身から進展した病原細菌が球根中央部に達し、どろどろに軟化腐敗する。

発生時期:

7~9月

発生場所:

施設・露地

備考:

発病は夏季の高温時に発生が多くなり、気温の上昇とともに発生は増加し、まん延は9月下旬まで続く。露地栽培では発生はごくわずかであるが、施設ハウスで観賞用の花きとして、あるいはコンテナ栽培を行う場合では、高温条件となるため発生しやすい。病原細菌は土壌中に潜み、植物根で一次増殖し、雨滴とともに 跳ね上がり、葉上で増殖する。葉の気孔・水孔や傷口などから植物体に侵入して増殖し、腐敗を起こす。

文献:

瀧本清透:花卉及温室作物の病害32,1939

外部サイト:

日本植物病名データベース

記述者:

木口忠彦(道花野セ)

記載日: 2012年2月10日

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