花き研究所

花き病害図鑑

根腐病(ネグサレビョウ)

Root rot(糸状菌)

植物名: パンジー(スミレ類、ビオラ、サンシキスミレ、ニオイスミレ) スミレ科 Viola wittrockiana
病原菌: Chalara elegans, Thielaviopsis basicola
病徴写真

育苗トレイでの生育不良。

根が腐敗した生育不良株。

根全体の黒変。

根を覆う黒いかさぶた状の厚壁胞子塊。
病原菌写真

病原菌の厚膜胞子。
病徴:

生育にばらつきが見られ、心葉が黄~白化して立枯症状が発生する。病株を洗浄すると根の一部が褐変または黒変している。地際部も同様に軟化腐敗してくびれ る。細根は腐敗脱落して生育遅延し、萎凋、枯死に至る。セル成型育苗時にも発生し、根の黒変腐敗と茎基部が軟化腐敗して倒れる。

発生時期:

9月

発生場所:

施設、露地

防除法:

病原菌は土壌伝染し、寄主範囲が広い。汚染した土壌や資材を用いると発生するため、無病土を用い、セルトレイやポットを再利用する場合には、消毒する。

備考:

被害根の残渣が第一次伝染源となる。病原菌は残渣中で菌糸や厚膜胞子の形で残存し、植物が植えられると発芽して感染する。本病原菌は内生型の分生子と厚膜 胞子を形成し、灌水時に水の跳ね上げなどによって他の鉢へと蔓延する。通年栽培を行っている施設では栽培ベッドにたえずビオラや本病菌の感染植物があると ベッド床に病原菌が残存して、毎回発病を起こす。多灌水を行うと内生型の分生子が大量に形成され、他の鉢へ飛散する確率が高くなる。また、鉢上げ用のポリ ポットや培養土を無殺菌で再利用すると発生しやすい。好適な気温は20~26°Cである。本病原菌はThielaviopsis basicolaと呼ばれ たが近年Chalara elegansに変更された。

文献:

南部信方:病虫雑 3(5):419,1916(大 5) ,  粕山新二・井上幸次:日植病報 62(6):630, 1996

外部サイト:

日本植物病名データベース

記述者:

菅原敬(山形県庄内産地研究室)、岡田清嗣(大阪府環境農林水産総合研究所)、木口忠彦(道花野セ)

記載日: 2011年6月7日

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