花き研究所

花き病害図鑑

疫病(エキビョウ)

Phytophthora rot(糸状菌)

植物名: カラー(オランダカイウ、キバナカイウ) サトイモ科 Zantedeschia spp.及び種間雑種
病原菌: Phytophthora richardiae
病徴写真

地上部の生育が劣り、かつ、萎れている。

左:健全株、右2株;罹病株;根の黒変、地上部の生育不良

本病発病圃場。

下位葉の黄化から始まる。この株では葉数が健全株に比べ減少している。
病徴:

はじめ根が水浸状に腐敗する。その後、根の柔組織は腐敗し、表皮と芯の繊維を残すのみとなる。発病株は根が少なくなり、根のマットは消失する。地上部は、はじめ外葉から黄化する。その後、数葉を残すのみとなり、全体が極端にわい化する。また、球根も腐敗するが、株全体が枯れることはない。花こうが短くなり、花数も少なくなる。ほ場全体に発生する。

発生時期:

通年

発生場所:

施設・露地

防除法:

耐病性品種の利用。かけ流し栽培では、土壌消毒は病原菌密度を減少させるが、苗が植えられると速やかに密度が回復してしまう。そのため、無病の苗を汚染さ れていない圃場へ植え、厳重に隔離栽培するのがよい方法である。畑地栽培では、土壌くん蒸剤による土壌消毒で、防除が可能であると考えられる。

備考:

品種ウエディングマーチ、グリーンテトラは比較的強い耐病性、チルドシアーナ、グリーンゴッデス、アンジェリカは罹病性、斑入りグリーンカラーは中間の耐病性。

文献:

植松清次ら:日植病報56(3):385,1990,植松清次ら:日植病報59(3)289,1993

外部サイト:

日本植物病名データベース

記述者:

田中千華(千葉県暖地園研環境研)

記載日: 2012年1月30日

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