花き研究所

花き病害図鑑

灰色かび病(ハイイロカビビョウ)

Gray mold(糸状菌)

植物名: キク キク科 Chrysanthemum morifolium
病原菌: Botrytis cinerea
病徴写真

葉での発病。

葉での発病。しばしば分生子を生じる。

花での発病。褐色~あめ色の小斑点を生じ、拡大する。

同左。病斑がひろがったもの。梅雨期にハウス内で発生し、拡大を押さえ込むのがやや困難。

花弁の斑点症状

茎の先端が腐敗、腐敗部に胞子形成(矢印)
病原菌写真

葉の罹病部から分離した菌の分生子。

分生子の表面構造。
病徴:

茎葉および花に発生する。葉では葉先や葉縁が褐変し、やがて病斑が拡大するが、繁茂した箇所、やや老化した葉の発生にとどまることが多く、積極的に感染するものではない。花では花弁に褐色~あめ色の小斑点を生じ拡大する。病勢が進むと花全体に広がる。多湿時には患部に分生子を形成する。

発生時期:

秋~初夏

発生場所:

施設、露地

防除法:

1.本菌は極めて多犯性で花き類をはじめ、多くの野菜類や果樹に灰色かび病を引き起こす。2.生育温度は5~30°Cで35°C以上では生育できないため、盛 夏期には発生が少ない。菌糸の伸張は20°C付近、胞子形成の適温はやや低い16°C付近である。3.本菌は腐生性が強く、有機物上で腐生的に繁殖できるた め、残渣等はほ場外に持ち出す。4.多湿条件で発生しやすいため、過繁茂にならないように注意し、換気により湿度の低下を図る。

備考:

病原は極めて多犯性である。

文献:

河村貞之助:農耕と園芸13(7):94,1958

外部サイト:

日本植物病名データベース

記述者:

菅原敬(山形県庄内産地研究室)

記載日: 2012年2月7日

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