花き研究所

花き病害図鑑

褐さび病(カッサビビョウ)

Rust(糸状菌)

植物名: キク キク科 Chrysanthemum moriforium
病原菌: Phakopsora artemisiae
病徴写真

本病の場合、病斑は葉の表、裏ともに形成される。

葉表の病斑は一見するとうどんこ病のように見えることがある。

葉表の病斑の拡大、病斑の周囲は少し退色する。

病斑部の拡大(実体顕微鏡)、胞子堆の表皮が破けて内部の胞子が露出している。

本病罹病葉の表(左)と裏(右)側、病斑部周辺は退色する。
病原菌写真

病原菌の夏胞子

病原菌の夏胞子堆

夏胞子
病徴:

葉の両面に淡黄~黄緑色の小斑点を生じ、中央部に淡褐~灰褐色の粉となる。秋、病斑裏面に褐~暗褐色のかさぶた状斑点が生じる。病勢が激しい場合、新葉が次々に感染し、下位葉から枯れ上がり、生育不良となる.

発生時期:

7~11月

発生場所:

露地

防除法:

健全親株から採苗する。

備考:

本病の発病適温は白さび病のそれよりやや高い、従って夏の終わりから初発し秋初めに収束する。本菌の胞子は夏胞子と冬胞子の2種類がある。夏胞子は越冬可能で春の第一次伝染源と考えれられる。冬胞子の機能は不明である。栽培ギクのほかに野生のキクにも寄生する。

文献:

出田 新:日本植物病理学:584,1911,Hiratsuka, N.:日本植物学輯報3:298,1927

外部サイト:

日本植物病名データベース

記述者:

佐藤豊三(農業生物資源研究所)、築尾嘉章(花き研)

記載日: 2012年1月30日

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