花き研究所

花き病害図鑑

茎えそ病(クキエソビョウ)

Stem necrosis(ウイルス)

植物名: キク キク科 Chrysanthemum morifolium
病原菌: Chrysanthemum stem necrosis virus(CSNV)
病徴写真

葉に同心円紋のえそ斑を形成。

茎に黒褐色の条線を生ずる。

葉に同心円紋のえそ斑を形成。

茎に褐色の条線を生ずる。この症状はえそ病に酷似する。
病徴:

葉に退緑斑紋を生ずる。また、初め葉脈に沿って黄化症状が現れ、後に拡大し葉が黄化枯死することもある。さらに全身発病株の茎を縦断すると髄部に褐色のえ そが見られる。高温条件になると症状がはっきり現れるようになる。品種によって異なる症状が現れる場合があり、多くは葉のみに白色の斑点を現すが、茎の表 面に黒色の条斑を生ずるものもある。いずれにせよえそ病の症状と酷似するため判別は難しい。

発生時期:

全期間、主に生育期

発生場所:

露地・施設

防除法:

CSNVが発生していない親株を導入するとともに、CSNV発生地から離れた場所で維持、育苗を行う。キクの親床、挿し穂増殖、育苗施設のミカンキイロアザミウマの防除を徹底する。定植時にCSNVの感染苗や感染株を持ち込まないように注意する。

備考:

病原ウイルスはえそ病の病原と同じトスポウイルスに属する。本ウイルスはえそ病と同じくミカンキイロアザミウマによって伝搬される。アザミウマ類は幼虫の時期に罹病株に寄生・食害を起こすことでウイルスを獲得するが、この時点では伝搬能力はなく、同虫が成虫になってはじめてウイルスを媒介するようになる。 罹病した親株から苗を増殖することによっても伝染が起こる。

文献:

松浦昌平ら:日植病報73(1):68,2007Matsuura, S. et al.: Plant Dis. 91:468,2007

外部サイト:

日本植物病名データベース

記述者:

築尾嘉章(花き研)

記載日: 2012年5月2日

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