花き研究所

花き病害図鑑

黄斑病(オウハンビョウ)

yellow spot(糸状菌)

植物名: シンビジウム(カンラン、キンリョウヘン、シュンラン、スルガラン) ラン科 Cymbidium spp. 及び種間雑種
病原菌: 黄斑形成菌:Fusarium proliferatum 「レースY」、Fusarium flactiflexum,黒斑形成菌:Fusarium proliferatum 「レースB」
病徴写真

葉の黄斑症状

黒斑症状

黄斑症状、病斑が盛り上がる。

黄斑症状発生株

黒斑症状
病徴:

葉に発生し、黄斑病徴と黒斑病徴の2種類の病徴がある。黄斑病徴は初め水浸状に盛り上がった小斑を生じ、これが拡大や融合して、中央部が黄色から赤褐色で 周囲が盛り上がる病斑が形成される。末期には、中央部より黒変し盛り上がりはなくなる。黒斑病徴は、初めから黒色不整形の斑点が形成され、品種によっては 黒斑周囲にハローをともなうこともある。 黄斑や黒斑によって株が萎凋することはないが、多発すると葉枯れや奇形となる。

発生時期:

罹病葉は周年認められるが、発生は6月上旬から8月下旬頃が顕著になる。

発生場所:

施設栽培および露地栽培

防除法:

罹病葉や罹病株を除去する。鉢間隔をできるだけ広くし、栽培密度を低くする。肥料はコーチィング肥料を用い、潅水時の送風はさける。山上げ時などの露地栽培では雨よけ栽培とする。

備考:

シンビジウムで発生。本病は2種類のFusariumによって起こる。Fusarium proliferatum var. minus はFusarium proliferatumに再同定とともに新レース記載、Fusarium sacchari var. subglutinans はFusarium flactiflexumに新種記載された。

文献:

市川和規ら:日植病報55(4):496 1989. 市川和規、青木孝之:日植病報 62(3)161: 1996 ,  Ichikawa, K., Aoki, T.: J. Gen. Plant Pathol. 66:213-218, 2000,Aoki, T. et al.: Mycoscience 42:461-478, 2001.

外部サイト:

日本植物病名データベース

記述者:

青木孝之(生物研ジーンバンク)、市川和規(山梨県総合理工学研究機構)

記載日: 2011年9月13日

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