花き研究所

花き病害図鑑

立枯病(タチガレビョウ)

Blight(糸状菌)

植物名: シャクヤク(芍薬) キンポウゲ科 Paeonia lactifflora
病原菌: Botrytis paeoniae
病徴写真

花梗を中心に褐変が始まる。

花蕾全体が褐変し、腐敗する。

褐変は周囲の葉にも及ぶ 未熟な花蕾に発生した本病。

病斑部に形成された本菌の胞子(矢印)。

多湿条件下では病斑部に白色菌糸がまとわりつく。
病徴:

萌芽期の立枯症状と開花期の花梗腐敗の2種類の異なる病徴を起こす。前者は病名の由来となった症状で後者は未熟な花梗や花蕾の一部が褐変し、萎凋したり腐敗する。高湿度下では病斑部に白色の菌糸がまとわりつく。病変部は後に褐灰色のかびが着生する。

発生時期:

萌芽期と開花期

発生場所:

露地

防除法:

土壌伝染と風媒伝染による。

備考:

類似病害に灰色かび病がある。分類学的に非常に近い菌ではあるが本菌の宿主範囲は狭い。本菌の菌核は非常に小さいが灰色かび病菌のそれは1mm以上と大きい。また灰色かび病菌は非常に多犯性で腐生性が強い。灰色かび病では立枯れ状態になることはない。

文献:

出田 新:日本植物病理学:377, 1903 ,  漆原寿彦ら:関東東山病虫研報45,147,1998

外部サイト:

日本植物病名データベース

記述者:

築尾嘉章(花き研究所)

記載日: 2011年8月19日

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