花き研究所

花き病害図鑑

半身萎凋病(ハンシンイチョウビョウ)

Verticillium wilt(糸状菌)

植物名: ストック(アラセイトウ) アブラナ科 Matthiola incana
病原菌: Verticillium dahliae
病徴写真

茎葉の片側が萎れる症状

同左ほ場より採取。茎葉の片側が枯れ上がる。

発生初期、草丈30mcの頃、片側の葉が萎れる。

茎を切断すると、道管部の一部が褐変している。

株の萎凋症状
病原菌写真

分離菌の菌叢(PDA)。周囲が黒色で生育の緩慢なコロニー。

分離菌のファライドと楕円形の分生子

罹病組織内に観察される亜球形の菌核
病徴:

はじめ株の片側の下葉が黄化し上位葉に進み、黄化した葉はやがて枯死する。上位葉の片側が垂れ下がる症状は草丈30cm頃からみられる。萎凋病の様な急性 的な症状はみられないため、開花まで至る株も多い。しかし茎や花穂が湾曲したり小花の一部が垂れ下がるため商品価値は劣る。罹病株の茎や葉柄の道管部は片 側だけが褐変する点と、罹病組織の検鏡で菌核が見られる点で他病害と区別できる。萎凋病(Fusarium oxysporum)が導管の片側のみ罹病した場合と症状が似る。

発生時期:

9月下旬

発生場所:

施設

防除法:

輪作、薬剤による作付け前の土壌消毒を行う。

備考:

アブラナ科植物に病原性のあるVerticillium dahliaeは近年V. longisporumとして独立して扱われるが、ストック分離菌は、分生子や菌核の特徴から、記述者はVerticillium dahliaeと観察している。

文献:

山下一夫・杉山 悟:日植病報 57(1):87, 1991

外部サイト:

日本植物病名データベース

記述者:

菅原敬(山形県庄内産地研究室)

記載日: 2011年8月2日

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