花き研究所

花き病害図鑑

輪紋病(リンモンビョウ)

Ring spot(ウイルス)

植物名: ダリア(テンジクボタン) キク科 Dahlia spp.
病原菌: Tomato spotted wilt virus (TSWV)
病徴写真

葉に退黄緑色の病斑を形成(上部)。やや不明瞭ながら輪紋病斑を形成(下部)。

茎のえそ条斑

葉の輪紋症状

葉の輪紋とえそ斑点
病徴:

はじめ病斑は淡緑色~灰白色、あるいは褐色~黒褐色の病斑になる。病斑は拡大すると同心円状に広がり明瞭な輪紋症状となる。茎では縦に細長いえそ条斑を生 じ、亀裂を生ずることもある。症状は比較的軽く、生育不良や枯死に至らない。保毒塊根でも症状はすぐ現れず、夏季(8~9月)になると病斑が形成されてく る。

発生時期:

8~9月

発生場所:

露地

防除法:

他の作物への伝染源となるため、罹病した個体は処分する。媒介虫のアザミウマ類の防除を行う。

備考:

罹病した塊根が原因で発病することがほとんどで、保毒していると確実に夏季に症状を現す。媒介虫はアザミウマ類であるが、露地栽培条件で寄生するアザミウマ類は本ウイルスの伝搬効率がミカンキイロアザミウマに比べると低い。アザミウマは幼虫の時期に罹病株に寄生・食害を起こすことでウイルスを獲得する。しかし、伝搬能力はなく、同虫が成虫になってはじめてウイルスを媒介するようになる。他の花きではキク、アルストロメリア、トルコギキョウなどで発生し、感染植物は多い。

文献:

井上忠男・井上成信:日植病報 36(5):357,1970 ,  井上忠男・井上成信:農学研究 54:79,1972

外部サイト:

日本植物病名データベース

記述者:

木口忠彦(道花野セ)

記載日: 2012年6月13日

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