花き研究所

花き病害図鑑

微斑モザイク病(ビハンモザイクビョウ)

Mild mottle mosaic(ウイルス)

植物名: チューリップ ユリ科 Tulipa spp.
病原菌: Tulip mild mottle mosaic virus
病徴写真

蕾時の本病の典型的な症状。

蕾の時に明瞭な花弁の楕円形病斑が開花につれて不鮮明になるのが本病の特徴。

葉の症状は不鮮明だがモザイクになる。

品種によっては花弁に増色型の条線が入る。
病原菌写真

病原ウイルス(電子顕微鏡写真)。くしゃくしゃのひも状。
病徴:

一般にモザイク病に比べて病徴が不鮮明で発見が遅れることが多い。本病は、蕾の着色期に、楕円形の退色斑紋を生じるのが特徴であり、この斑紋は開花とともに不鮮明になることが多い。なお,品種によっては、増色型の条斑も生じることがあり、この場合は開花後も識別が可能である。また、モザイク病の場合と同様に、黄色・白色の品種は花の病徴が認められないことが多い。葉には退緑斑紋を生じて淡いモザイクを生じるが、品種によっては識別が困難である。

備考:

本病は土壌伝染し、土壌のOlpidium菌によって媒介される。多湿条件で発病は助長され、植え付け時期を遅らせたり、硫黄で土壌pHを酸性化すると発病が軽減される。球根伝染も行うが、伝染率は品種によって数~80%と大きく異なり、品種間の抵抗性差異は大きい。

文献:

守川俊幸ら:富山農技セ研報 16:55, 1995 ,  守川俊幸ら:日植病報 61(6):578, 1995 守川俊幸ら:日植病報 63(6):504, 1997

外部サイト:

日本植物病名データベース

記述者:

築尾嘉章

記載日: 2011年7月13日

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