花き研究所

花き病害図鑑

ウイルス病(ウイルスビョウ)

Virus(ウイルス)

植物名: ユリ類 ユリ科 Lilium spp.
病原菌: Apple stem grooving virus 旧Citrus tatter leaf virus,Cucumber mosaic virus(CMV),Lily mottle virus(LMoV) 旧Tulip mild mottle virus、Tulip breaking virus-L,Lily symptomless virus(LSV),Tobacco mosaic virus(TMV)
病徴写真

葉のわずかなモザイク

モザイク症状

花弁の色割れ

葉のモザイク
病徴:

複数のウイルスがユリに感染するが、いずれのウイルスも単独感染するとほとんど無病徴か、わずかにモザイクが生ずる程度である。しかし、実際には複数のウ イルスが重複して感染するため、激しい症状となることが多い。葉身のモザイク、褪色、湾曲、黄色条斑、えそ病斑の症状、株全体に生育不良などの症状を引き 起こす。

発生時期:

全期間、特に9月。

発生場所:

施設

防除法:

ほとんどのウイルスはアブラムシ伝染のため、生育期に殺虫剤を散布する。いったん、ウイルスを保毒すると球根伝染し、次第に生育が劣るし、隣接株の伝染源になる。

備考:

ユリ類のウイルス病としては、ウイルス病、えそ病、モザイク病が記録されている。ウイルス病の病原は上記5種類が知られるがLily mottle virusによるモザイク症状が主役であることが多い。えそ病は食用ユリでのみ発生し、Plantago asiatica mosaic virusとLMVの混合感染による。モザイク病はテッポウユリに発生し2種類のウイルスによって起こる。

文献:

井上成信ら:日植病報 44(1):95, 1978 前田孚憲・井上成信:農学研究 60:69, 1983 ,  前田孚憲・井上成信:日植病報 47(1):129, 1981 萩田孝志ら:日植病報 55(1):1, 1989

外部サイト:

日本植物病名データベース

記述者:

木口忠彦(道花野セ),菅原敬(山形県庄内産地研究室)、築尾嘉章(花き研)

記載日: 2012年1月19日

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