果樹研究所

一押し旬の話題

2011年11月 1日

カキ「太秋(たいしゅう)」「太月(たいげつ)」

現在、カキの主力品種は「富有(ふゆう)」「次郎」「平核無(ひらたねなし)」「刀根早生(とねわせ)」などです。 これらのカキと肉質が違うシャリシャリとした食感のカキ「太秋」を作りました。

また、秋から冬に向け寒い地域では、干し柿を吊るした風景が風物となっています。この度、果樹研究所では 今までのカキの2倍もある、大きな干し柿が出来るカキ「太月」を作りました。

太秋(たいしゅう)

太秋(たいしゅう)

『柿が色づくと医者が青くなる』と言われていますが、お店に赤く色づいたカキが沢山並んでいます。
『果物は好きだけどカキはどうも』と言われる人がいます。
ここに登場したのが、普通のカキと少し肉質の違った「太秋」です。
これは、カキは苦手という人も『これはいけるね。』と言うこと間違いなしのカキです。

このカキ「太秋」は1977年、「富有」を親に作った品種で、1995年に品種登録しました。「松本早生富有」と同時期に熟する大果で非常に食味の良い完全甘ガキです。
甘ガキには「西村早生」のように不完全甘ガキと言われ、種が入らないと渋が抜けないものもありますが、「太秋」は寒冷地で栽培をしたものを除けば、成熟した時には渋が抜けています。

「太秋」は肉質がさくさくとして軟らかく、果汁が非常に多いのが特徴です。
果実の大きさは400g程度で、「富有」の1. 5倍程度と大きく、時に、果頂部に『条紋』と呼ばれる微小な亀裂が生じやすいのも特徴です。
この『条紋』は外観が悪いと言って嫌われますが、『条紋』を生じた部位は他の部位より2~3%程度糖度が高いため、食味が優れています。

わが国の甘ガキ生産の60%程度を11月中下旬に成熟する晩生の「富有」が占めており,収穫・出荷労力の集中と出荷量集中による価格低下が問題です。
これに対応するために作ったのが,高品質で栽培しやすい中生の甘ガキ「太秋」なのです。

太月(たいげつ)

太月(たいげつ)

カキ「太月」は1993年に、「黒熊(くろくま)」という渋ガキに「太秋」を交配し、2009年に品種登録された品種です。
大果で食味の良い中生の不完全渋ガキです。不完全渋ガキと言うのは、種子から渋を抜く物質が発生するものの、その量が少ない、あるいは種子ができにくいために、渋柿となります。
不完全渋ガキには、「平核無(ひらたねなし)」や「刀根早生(とねわせ)」などの品種があります。

「太月」は果実の大きさは450g程度になり、「平核無」の2倍程度になります。
CTSDという炭酸ガス脱渋により完全に脱渋します。
肉質は緻密で、果肉硬度は「平核無」並みに低く、果汁も多いため食味良好です。
親の「太秋」の性質を受け継いでおり、『条紋』が多く発生します。

現在、主に栽培されているカキの品種は、「富有」、「次郎」、「平核無」やそれらの枝変わり品種であり、消費されているカキは少数の品種に限られています。
市場では大果のカキの評価が高いので、大果で食味が優れ、収量性の高いカキの新品種の育成を図ってきた成果です。
もう数年したら、大きな干し柿が店頭に並ぶことでしょう。

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