果樹研究所

一押し旬の話題

2012年3月15日

モモ「ひなのたき」、カンキツ「せとか」

所長お薦めの一押し旬の果物も1年間食べ続けられました。果樹研究所で育成した品種は、リンゴ「ふじ」、ナシ「幸水」「豊水」、カンキツ「清見」「不知火」だけでなく、色んなものがあったでしょう。
皆さんの身近な所にぜひ果物を置いていただき、毎日200gくらいは食べていただきたいですね。ミカン、キウイフルーツ、バナナなら2個、リンゴ、ナシ、モモ、カキなら1個くらいです。

3月は桃の節句です。旧暦ですので、4月上旬にモモの花を楽しむと言うところでしょうか。今回は、モモ「ひなのたき」とカンキツ「せとか」を紹介して、1年の締めくくりとしましょう。

1年間お付き合い下さいました皆様に感謝するとともに、今後とも、ぜひとも果樹研究所育成の品種をご贔屓下さい。

ひなのたき

ひなのたきモモは生のまま食べたり、加工してネクターや缶詰にして食べるほか、樹の姿や花を楽しむ観賞用品種があり、花モモと呼ばれ、江戸時代から利用されてきました。今までの花モモ品種は、どれも果実が100gに満たないほど小さく、苦味や酸味が多く、生べられませんでした。 果樹研究所で育成したモモ「ひなのたき」は、枝垂れ性で、花は八重咲き、桃色で美しく、しかも果実が生食できるモモです。
果実の成熟期は「あかつき」とほぼ同時期で、つくばでは7月下旬です。果実は150g前後、果肉は黄色で、糖度は普通のモモと比べると、やや低いですが酸味が少なく、ほどほどに食べられるモモで、花も実もあるモモということです。

1995年秋に、果樹研究所育成の「残雪枝垂れ」を親にして、生食用品種「あかつき」の血を入れて選抜し、2010年に品種登録されました。

開花期は4月上旬で、「あかつき」より数日遅く、開花の始めから終わりまで3週間以上であり、開花期間が極めて長いことも特徴のひとつで、長い間花を楽しむことができます。
花は大きく、花弁(花びら)は桃色で25枚前後であります。自家結実性ですので、樹1本でも、実が止まります。

せとか

せとかカンキツ「せとか」は1984年に「清見」に「アンコール」を交配して作った系統(No.2)に「マーコット」の花粉を交配して育成し、2001年に品種登録された品種です。 果実は250g程度、糖度は13%程度で食味良好です。果皮は橙色から濃橙色で、外観は極めて美麗です。
少し手が汚れることもあるかもしれませんが、手で皮をむくことができます。
熟期は2月頃ですが、ハウスで作ったものでは1月頃から、露地で作ったものは、3~4月まで出荷されます。

現在、愛媛県、佐賀県、長崎県、広島県などで、3,100トンが生産されています。

ハウス栽培された「せとか」は果実もきれいで、味も良く、果物専門店では1個1,000円以上で売られています。
そんなに高いものでなくて結構ですから、食べてみて下さい。美味しいですよ。

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