しかし、この贈られた桜の苗木3,000本を生産したのが、農林省農事試験場園芸部(現、果樹研究所カンキツ研究興津拠点)であったことは、意外と知られていません。最初に東京都からアメリカへ送られた木は、病害虫の付着がおびただしく、全て焼却処分になってしまいました。日本の名誉をかけ、苗木を作ったのは熊谷技師(後の果樹試験場場長)達、果樹研究所の職員なのです。ちなみに、熊谷場長は果樹研究所を退職後、元老・西園寺公望公の執事となった人です。
また、苗木を育成したカンキツ研究興津拠点のある、静岡市清水区興津(おきつ)の町では、興津商工会の主催で「興津宿寒ざくらまつり」を行っています。これもワシントンへ贈った品種の1つである「薄寒桜」で、興津の町中を3,000本で飾ろうというものです。早いものではもう20余年生の立派な桜の木となっているものもあります。カンキツ研究興津拠点の一般公開に合わせて、「薄寒桜」は2月上中旬に開花します。今回の旬の話題は桜でしたが、八百屋さんでは「清見」、「デコポン」、「せとか」が美味しく食べられます。花見のお供に、どうぞご賞味ください。












