果樹研究所

一押し旬の話題

2012年7月15日

モモ

モモ

「もちづき」を使った缶詰 
「もちづき」を使った缶詰

モモの美味しい季節となりました。
果汁のしたたる様な完熟したモモをがぶりと食べるのがモモの美味しさを満喫する醍醐味かも知れませんが、缶詰のモモもデザートとしては美味しいものがあり、輸入品が大量に入ってきており値段が安いこともあり、つい買ってしまいます。 。

ところで、今から75年ほど前の昭和15年頃には、果樹研究所でも缶詰専用のモモ、缶桃(かんとう)の育成が盛んに行われました。
今でこそ、輸入缶詰に押しつぶされてしまいましたが、その当時は輸出の大きな柱となっていました。

缶詰用のモモは、ゴム質(不溶質)と呼ばれ、普通には軟らかくならず、生では食べられません。
簡単に軟らかくなると、缶詰の中で、ぐちゃぐちゃになってしまいます。

果樹研究所では、戦後になっても、「錦(にしき)」(昭和39年命名登録)、「もちづき」(平成12年品種登録)などの缶詰用品種の育成をしています。
缶詰用のモモでは、種が割れたり、種が実から離れやすいものは使えません。
種と実が離れやすい方が作業がしやすいと思われますが、離れやすいモモは外れた痕が見苦しいので、カッターで種をきれいに取り除く方がよいのだそうです。
缶詰用の品種作りも大変なのです。

もちづきの果実 
「もちづき」の果実

似た様な性質ですが、硬質モモと呼ばれ、パリパリとした「おどろき」というモモがあります。このモモは、真夏の温度に1週間置いても、軟らかくなりません。
まるで作り物のモモの様で、お盆のお供えには最適なモモです。
姿かたちはしっかりしていて、美味しそうですが、いつまでたっても硬くて普通のモモとしては食べられない。
まさに驚きです。でも、このパリパリ感が好きだという人もいます。

これらのモモは、モモがどうして軟らかく美味しくなるのか、研究するための貴重な材料となっています

果樹研究所が育成してきたモモには、栽培面積1位の「あかつき」を筆頭に、皆さんの興味と食味をそそるような品種、「なつおとめ」、「つきあかり」、「ひなのたき」などがあります。何かの機会にぜひ食べてみて下さい。

ちびっ子博士2012

夏休みには、つくばちびっ子博士が開催されます。果樹研究所では、7月25日と8月1日に開催しますので、ちびっ子は集まって下さい。面白い実験や、楽しいお話が聞けますよ。

研究センター