イチジクの結実状況
夏になると、子供の頃カブトムシやクワガタを探しながら、途中の畑の隅になっている、トロトロに熟したイチジクを、ハチやアリを追い払って食べた味は忘れません。
イチジクは漢字では『無花果』と書きますが、花がない果物ではなく、実の中に花を着け、外からは見えませんので、無花果と呼ばれていたのでしょう。
皆さんが食べている部分が、花であったところで、成熟して実となっています。食べるとプチプチしているのが種です。
日本の品種では、成熟した種子になりませんので、これを蒔いても芽は出てきませんが、外国の品種では、種を蒔くと芽が出るものがあります。
乾燥イチジク
外国産の乾燥イチジクでも種を蒔くと芽が出ることがあります。
試してみたら面白いですよ。
日本へは江戸時代初期にペルシャから中国を経て、長崎に伝わりました。その当時から『蓬莱柿(ほうらいし)』、『南蛮柿(なんばんがき)』、『唐柿(とうがき)』などと呼ばれていました。外国から来た果物と言うことでしょう。
イチジクの歴史は非常に古く、アダムとイブが人間になり、恥ずかしさに前を隠したのがイチジクの葉とされ、古代エジプトではイチジクの実に傷を付けることで、早く熟させる技術があったことが壁画のレリーフから見て取れます。
今では、傷によって生じるエチレンが追熟・老化ホルモンとして働くことが分かっていますが、3,000年の昔でも、経験から傷を付け成熟を促進させることが技術として確立していたのですね。驚きです。
イチジクの果実
イチジクの果実の断面
今売られている品種の多くは「桝井(ますい)ドーフィン」と言います。日本に昔からあった「蓬莱柿(ほうらいし)」や福岡県で育成された「とよみつひめ」などや外国の品種で、「バナーネ」、「スミルナ」と言う品種もあります。
お店で、品種も見て味を比べてみるのも面白いですね。
でも、トロトロに熟した果実は流通できませんので、本当に美味しい味は、産地に出かけて、あるいはイチジクの木を見つけたら、頼み込んで食べさせてもらうしかないようですね。
旬の果実
福島県産のモモ「あかつき」が、いよいよ今年の食べ納めです。今年は天候に恵まれ美味しいモモを食べることができました。
来年にも期待しましょう。今年はナシも美味しいですよ。