タチバナの結実状況
前回、ひな祭りの話をしましたが、3月3日も過ぎ、ひな飾りはもう片付けられていることでしょう。
あの、ひな飾りは内裏(だいり)を模したもので、内裏は天皇の住んでおられる一画のことです。
今の京都御所は平安京を模して作ったと言われています。その紫宸殿(ししんでん)の庭には、ひな飾りと同様に、『左近の桜、右近の橘』と呼ばれている桜とタチバナが植えられています。
近くまで入ることはできませんが、京都御所を見学すると、承明門の外から眺めることができます。
今年の一般公開は4月4日から8日までの間と発表されています。機会があったらご覧ください。
右近にあるタチバナはカンキツの仲間で、垂仁(すいにん)天皇の命令を受け、田道間守(たぢまもり)が常世(とこよ)の国に行って採ってきた「非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)」の果実とされ(『古事記』より)、それ以後、我が国に存在するカンキツとなっています。今から2,000年ほど前の1世紀頃の話です。
平安神宮など由緒ある大きな神社でも、境内に『左近の桜、右近の橘』が植えられているところがあります。
皇居の江戸城天守閣跡のすぐ下にもタチバナの木が1本植えられており、右近のタチバナとなっています。
皇居のタチバナ
タチバナの花
花弁が開ききっていませんが、
開くと文化勲章と同じようになります。
タチバナは、その葉が寒暖の別なく、常に茂り栄えるので、長寿の樹として珍重されたとされています。
そのため、タチバナの花は、文化勲章のデザインにも使われています。文化勲章は、昭和12年(1937年)に制定されたものです。(文化勲章のデザインの説明(内閣府))
前に話しました、果樹研究所カンキツ研究興津拠点には、ワシントンからの里帰りの桜「ソメイヨシノ」の右側にタチバナを植えています。2月の一般公開の折にご覧になった方もおられるでしょう。
旬の果物
カンキツでは「不知火」(デコポン)が今、旬です。今年はやや小玉ですが、糖が高く、価格も安くお手頃です。温州ミカンほど多くありませんが、β-クリプトキサンチンも十分に入っています。健康のためにもお薦めです。