果樹研究所

一押し旬の話題

2013年8月15日

クルミとアセロラ

クルミ

クルミの雄花
クルミの雄花

子供の頃「チロリン村とくるみの木」という人形劇が、テレビで放映されていたことを思い出しました。
果物や野菜たちが主人公で、日常茶飯事に起こる出来事で、けんかをしたり仲直りをしたりするアットホームな物語でした。

思い出したように、研究所内にあるクルミの木を見に行くと、直径5cmほどのまん丸な実がなっていました。
ク ルミの花は5~6月に咲きます。雄花と雌花があります。
雌花は受粉すると写真のような実になりますが、皮と5mmほどの果肉(食べられませんが)の中に、 クルミの殻が入っています。
熟すると木の上で、皮と果肉が破れ、クルミの殻が落ちてきます。この殻の中に仁(じん)が入っており、これを食用にしていま す。

ところで、クルミは山里に多く自生しており、これらはオニグルミと呼ばれ、殻が非常に硬く、ハンマーを使わないと仁を取り出すこ とができません。
時々、カラスが自動車の通る道までクルミの実を運んでいって、車の車輪でつぶしてもらって中身を食べている映像がニュースになったりしま す。
一方、長野県などで栽培されているのは、カシグルミと呼ばれ、クルミ同士を重ねて手で押せば殻を割ることができる程、殻の軟らかい品種です。

クルミは縄文時代の遺跡から出土しており、紀元前から、私たちの食料として使われてきたようです。
現在、クルミの国内生産は200トン程度で、長野県が4分の3、青森県が4分の1で、2県で、ほとんどが生産されています。
世界では100万トンほどが生産され、アメリカと中国で、その6割を生産しています。

クルミはビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB6、葉酸などのビタミン類や、マグネシウム、銅、亜鉛などのミネラルを多く含み、バランス良く栄養素を補給するのに適した食材でしょう。食べ過ぎは良くありませんが、適度に摂取されると良いでしょう。

完熟したクルミの果実
完熟したクルミの結実状況

クルミの果実
クルミの結実状況

アセロラ

話は変わりますが、アセロラドリンクは見たことがあるでしょうが、アセロラの花や果実を見たことのある人は少ないでしょう。
アセロラの花は直径15~2cmほどのピンク色をしたかわいい花です。年に3回ほど花を咲かせます。果実は1~3cmほどで、これもかわいい実です。緑色から黄色、ピンク色、そして赤色と果実の熟度が増すにしたがって変化していきます。

酸味が多くて、生では食べられませんが、それでも糖の多い品種では、味の濃いと言っても、やはり酸っぱい熱帯果物らしい香りの味が楽しめます。
沖縄のような暖かい地域や、ハウス栽培されたものを食べるチャンスはあるかもしれません。完熟した果実は傷みやすく、一般の流通はほとんどありません。沖縄県で約30 トンが生産されています。
アセロラ果実の特徴はビタミンCの多いことです。果実中の1~2%はビタミンCです。夏の暑い時には最適な果物かもしれません。

アセロラの果実
アセロラの結実状況

アセロラの花
アセロラの花

旬の果物

暑い夏に水分とカロリーが補給できるナシやブドウが出始めました。
今年も美味しい果実が楽しめそうです。

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