果樹研究所

一押し旬の話題

2013年10月15日

干し柿

カキの花
カキの花

「柿が赤くなれば医者は青くなる」と昔から言われているように、カキを始め多くの果物はビタミンAやCなどを多く含み、季節の変わり目で体調維持をするのには重要な食べ物です。

カキに含まれるビタミンCの量は、果物の中ではトップクラスで、風邪予防や美肌効果が期待できます。
また、カキのオレンジ色には、温州ミカンに多く含まれ抗酸化作用のあるβ-クリプトキサンチンが多く含まれ、発がん抑制作用が期待されています。

渋み成分のタンニンにはアルコールを分解する作用があり、さらに利尿作用のあるカリウム、酸化還元作用のあるビタミンCとの相乗効果で二日酔いにも効果があると言われております。

カキの実
カキの実

世界のカキ生産は、中国で300万トン、韓国40万トン、日本20万トン、ブラジル16万トン、アゼルバイジャン15万トンなどで多く作られています。
日本国内では、和歌山県が21%、奈良県が12%、福岡県が10%、愛知県が8%の生産となっており、この4県で全国の5割を占めています。

9月から10月下旬まで「刀根早生(とねわせ)」や「平核無(ひらたねなし)」などの脱渋ガキが出荷され、11月以降は「次郎」や「富有」などの甘ガキが出回ります。

果樹研究所で育成した「太天(たいてん)」は甘ガキ「太秋(たいしゅう)」の子供ですが、渋ガキです。
「太秋」の果汁が多くサクサクとした独特の歯ごたえが遺伝されており、脱渋した「太天」果実でもサクサクした肉質を味わうことができます。
500gにもなる太果ですので、脱渋ガキだけでなく、干し柿にしても、大型で、見栄えのする干し柿となると思われます。

干し柿は、非常に優れた果物の保存方法で、平安時代にはすでに作られていたようです。
平安時代の木簡(736年)に干し柿を献上したとされる記述があるなど、いくつかの古い書物に記録が残されています。

現在、干し柿の出荷量は、1位 長野県、2位 福島県、3位 山梨県となっています。
長野県では「市田柿」、福島県では「あんぽ柿」、山梨県では「ころ柿」として、有名です。果物の加工品はジュースなど生果と比べると価格の安くなるものが多いのですが、干し柿は生果と比べて付加価値のついた商品となっています。

干し柿の作成風景
干し柿の作成風景

カキの加工品
カキの加工品

なお、「太天」の脱渋果の評価をしていただき、カキについての様々な情報をお知らせしたく、11月21日に東京都内で第10回フルーツセミナーを企画しています。
詳しくは農研機構のホームページにご注目ください。

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