果樹研究所

一押し旬の話題

2013年11月15日

リンゴ

果物屋さんにいろいろなリンゴが並んでいます。
リンゴの国内生産量はおよそ80万トンで、都道府県別にみると、青森県が56%、長野県が21%の生産をしており、この2県で全国の約8割の生産をしています。次いで岩手県、山形県、福島県、秋田県の順となっています。

リンゴは収穫した後、果実の日持ちが良く、少し工夫をすれば長く貯蔵でき、ほぼ1年中出回っていますが、端境期にはニュージーランドから2,000トンほど輸入されています。
一方、農産物の輸出を増やそうという政府の方針で、台湾へ8,000トン、香港へ700トン、タイへ250トンほど輸出しています。

もりのかがやき
もりのかがやき

世界のリンゴ生産は、中国がダントツの3,600万トン、アメリカ430万トン、インド290万トン、トルコ270万トン、ポーランド250万トンなどが生産量の多い国です。

国内での栽培品種は従来からの「ふじ」、「つがる」、「王林」、「ジョナゴールド」が主体ですが、近年、長野県で開発された「シナノスイート」、「シナノゴールド」、「秋映(あきばえ)」などの生産量が増えています。

果樹研で育成した黄色の品種「もりのかがやき」は、糖度が高く、酸が少なく、肉質も良く、また日持ちも良い高品質なリンゴです。
「ふじ」より3週間ほど早い10月中旬に出回る中生の品種です。

また、青森県で育成された、褐変しない「あおり27(千雪)」、長期貯蔵性がある「あおり15(星の金貨)」、病気に強く農薬散布が少なくてすむ「あおり21(春明21)」など、個性豊かな特徴をもった品種も開発されています。

カムラナータイプのリンゴ
カムラナータイプの木に成った果実

リンゴにちょっと変わった品種があります。カラムナータイプと言って、細い円筒状の樹形に成長する特性を持った品種です。
カナダのウイジック氏のリンゴ園で、「マッキントッシュ(日本名「旭」)」の枝変りとして発見されたリンゴで、枝が横に成長することがなく、果実も枝にくっついて成るような性質を持っています。

カラムナータイプは、樹体構造が単純でコンパクトなため、せん定や収穫作業が極めて容易になるほか、無人の薬剤散布機などと組み合わせて非常に省力的な栽培が可能になるという極めて優れた性質です。

カムラナータイプ
カムラナータイプのリンゴの木

しかし、「旭」と言う品種は、渋味が強く、酸が高いため、今の消費者の嗜好には合いません。
国内外の多くの試験研究機関で、交配を繰り返し、果実品質改善の努力がされています。
数年後には、果実が市場に出回ったり、苗木が販売されるようになることを期待しましょう。
皆さんのご家庭の庭で、びっしり成ったリンゴの木や垣根を楽しむことができるようになるでしょう。

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