果樹研究所

一押し旬の話題

2013年12月 2日

西洋なしフォーラム

西洋なしタルト
西洋なしタルト

11月30日に東京・南青山会館で、西洋なしフォーラムが開催されました。

料理研究家の小川聖子さんによる『洋梨でおいしく楽しくクッキング』と題した講演に続き、覚えきれないほど多くの種類の西洋なしの試食や西洋なしを使った料理やスイーツの試食もありました。

午前中には『西洋なし基礎セミナー』として、西洋なし初心者のためのいろいろな西洋なしの品種に触れるティーパーティーや『西洋なし専門セミナー』として、コミスを究める;コミスの栽培からレッドコミスの紹介までと、一日中、西洋なし一杯のイベントとなりました。
参加者の皆様には美味しい西洋なしをおなか一杯、頭には西洋なしに関する知識を一杯詰め込んでお帰りいただきました。

ところで、わが国の西洋なしの生産量は23,600トンで、山形県で全国の約6割の生産がされています。次いで、長野県、新潟県、青森県の順で、これらの県の合計生産量は全国の85%になっています。
世界では、中国1,500万トン、イタリア90万トン、アメリカ85万トン、アルゼンチン70万トン、スペイン50万トン程度が生産されています。

色々な西洋なし
色々な西洋なし

わが国で作られている西洋なしの品種は、「ラ・フランス」が6割以上を占めていますが、昔からの「バートレット」も1割程度の存在があります。
最近は、「ル・レクチェ」がいくらか増え、「オーロラ」、「ゼネラル・レクラーク」などに続き、「バラード」、「メロウリッチ」などの新しく登録された品種も少しずつ増えてきています。

農研機構北海道農研センターで育成された「ジェイドスイート」は、9月上旬に収穫期となる早生品種で、同時期に収穫される「バートレット」に比べ、糖度が2~3度高く、15°Cで容易に追熟させることができ、食べ頃も果皮色の変化から簡単に判別できる品種です。昨年登録されたばかりですので、もう数年すると世の中に出てくると思います。ご期待ください。

「ル・レクチェ」で使われる熟度確認シール
「ル・レクチェ」で使われる熟度確認シール

西洋なしは追熟が難しく、食べ頃にうまく当たることは少ないのが実情です。
私も年に何箱か色んな品種の西洋なしを買いますが、とろけるような肉質で、本当に美味しい果実は3分の1ほどしか食べられません。
本当に美味しい果実が流通すれば、もっと西洋なしの消費は伸びると思いますが、残念です。

「ジェイドスイート」と同じように、「ル・レクチェ」では外観が変化し、食べ頃が見ただけで分かる品種はよいのですが、「ラ・フランス」では、サビと呼ばれる褐変症状が果実の全面を覆っているので、追熟が進んでも果皮の色の変化がよく見えません。
美味しくて、追熟したことが外から簡単に分かる品種の開発が望まれます。

研究センター