果樹研究所

一押し旬の話題

2014年1月 1日

「はるみ」とパパイア

はるみ

はるみの果実
はるみ

あけましておめでとうございます。
初春に因んだ、おいしいカンキツを紹介します。

「はるみ」は昭和54年(1979)に「清見」にポンカンを交配して育成した品種で、平成8年(1996)に「はるみ」と命名されました。
「はるみ」の名前は、初春に店頭に並ぶカンキツで、「清見」の血を引いており、漢字で表すと「春見」です。

「はるみ」や「清見(きよみ)」と言うと、どこかの飲み屋の女の子の名前かなと言われますが、もともと「清見」は育成したカンキツ研究拠点の近くで静岡市清水区の名刹『清見寺(せいけんじ)』やその近くの『清見潟(きよみがた)』に因んだものです。

清見寺の五百羅漢
清見寺の五百羅漢

果実は180~200gとやや大きく、橙色で果面は滑らかなカンキツです。果皮は薄く、容易に皮が剥けます。果肉は比較的柔らかく、袋ごと食べられます。

平成23年(2011)の「はるみ」の収穫量は全国で約5,500トンでした。1位は約1,700トンの愛媛県で、全体の約3分の1を占めています。続いて約1,500トンを生産する広島県で、全体の約4分の1を占めています。3位は約700トンの静岡県でした。

パパイヤ

パパイヤの花
パパイヤの花

今回は熱帯果物のパパイヤを紹介します。
パパイヤはメキシコ南部原産の熱帯果物で、熱帯地方ではどこの庭先にも何本か植えられています。
果実は生果で果物として利用される他、乾燥させてドライフルーツにしたり、未熟果を炒め物や塩漬けなど野菜のようにして利用されたりもしています。

日本国内では200トンほど生産され、その8割が沖縄県産となっています。
他には、宮崎県、鹿児島県で生産されています。海外からは、フィリピン産2,300トン、アメリカ産470トンほどが輸入されています。

世界のパパイヤ生産を見ると、インドで400万トン、ブラジル180万トン、インドネシア95万トン、ドミニカ90万トン、ナイジェリア70万トンなどの生産があります。

アメリカの主なパパイヤ生産地であるハワイでは、パパイヤリングスポットウイルスと言う病気が蔓延し、対策として、このウイルスに対して抵抗性遺伝子を導入した組換え体パパイヤが作り出されました。この品種「レインボー」は食品としての安全性や環境など生物多様性に対する影響はないとして、アメリカではもちろんのこと、わが国でも平成23年(2011)12月より輸入解禁となっています。

国内で売られている組換え体パパイヤは、果実一つ一つに「組換え」と分かるシールが貼られ、販売されることとなっていますが、私はまだお目にかかったことはありません。
ハワイには日本人観光客が年間100万人程訪れるそうですが、この人たちがハワイで食べているのは、ほとんどが組換え体パパイヤと言ってよいでしょう。

パパイヤの品種改良は国内でも行われています。国際農林水産業研究センター(JIRCAS)で育成された「石垣珊瑚」は、平成20年(2008)年に品種登録された新種のパパイヤです。
果実は、平均840gで、果皮は鮮橙色、果肉は明赤橙色で、種がないのが特徴です。糖度は平均13.8%と高く、強い芳香があり、食味は非常に良好です。まだ、世の中に出回っていませんが、早く皆さんの口に届くと良いですね。

石垣珊瑚の果実
石垣珊瑚の果実

石垣珊瑚の断面
石垣珊瑚の断面

(石垣珊瑚の画像は国際農林水産業研究センターに提供して頂きました。)

研究センター