研究トピックス
温室効果ガス削減への貢献
● 水田からのメタン発生抑制技術を開発
⇒ 農業分野での温室効果ガス排出量削減に貢献
水田からのメタン発生を抑制するための中干しや田畑輪換など、栽培・土壌管理技術の効果を定量的に評価しています。また、各地での実証事業により削減可能量を検証しました。
農地からの温室効果ガスの発生を長期的に測定するための施設・装置
(参考ページ)
□ 温室効果ガス発生制御施設 (PDF) (環境報告書 2014年)
□ 中干し期間の延長で水田から発生するメタンを削減―水管理による温暖化対策― (プレスリリース 2013年)
□ 水田メタン発生抑制のための新たな水管理技術マニュアル(改訂版) (PDF) (農業環境技術研究所 2012年)
□ 世界の水田からのメタン発生量とその削減可能量の推定 (PDF) (農環研ニュース 2010年)
□ メタン:水田から出る温室効果ガス (農業と環境 2008年)
□ 温室効果ガス発生制御施設 (おもな施設 2009年)
● 温室効果ガス(メタン、一酸化二窒素)発生量の推計精度を向上
⇒ 世界の地球温暖化対策の推進に貢献
新たな推計方法が、IPCCの国別インベントリガイドラインや我が国の温室効果ガス排出・吸収量報告書に採用されました。
IPCCガイドラインの表紙(左)とIPCCのノーベル平和賞受賞の際の協力研究者への感謝状(右)
(参考ページ)
□ IPCCからノーベル平和賞受賞への貢献に対する感謝状を授与 (PDF) (農環研ニュース 2008年)
□ 京都議定書第一約束期間の開始を前に、農耕地から発生する亜酸化窒素の新しい排出係数を算定 (研究成果情報 2007年)
□ 2006年版IPCC ガイドラインに採用された水田から発生するメタンの新しい算定方法 (研究成果情報 2007年)
□ 農耕地から発生する亜酸化窒素の排出係数の推定と発生削減技術の開発 (PDF) (農環研ニュース 2006年)
□ 農耕地からの亜酸化窒素の排出係数は現在のIPCCデフォルト値よりも低い (研究成果情報 2006年)
食料と環境の安全性確保
● 水稲のカドミウム汚染低減技術を開発
⇒ より安全な農産物の生産を可能に
水管理などによりカドミウム吸収を抑制する技術と土壌中のカドミウム濃度を低減する技術が、「水稲のカドミウム吸収抑制対策のための対策技術マニュアル」 (PDF) および 「コメ中のカドミウム濃度低減のための実施指針」 (PDF) としてまとめられ、各地域で活用されています。
農業環境技術研究所が開発したカドミウム汚染水田の土壌洗浄技術の概要
(参考ページ)
□ カドミウム汚染水田浄化専用のカドミウム高吸収イネ「ファイレメCD1号」を開発 (プレスリリース 2015年)
□ 「農作物によるカドミウム・ヒ素の吸収とそのリスク管理」(第31回土・水研究会) 開催報告(農業と環境 2014年)
□ カドミウム汚染水田の実用的土壌浄化技術 −ファイトレメディエーションと化学洗浄法− (研究成果情報 2012年)
□ 農作物中のカドミウム低減対策技術集 (PDF) (農業環境技術研究所 2011年)
□ 土壌洗浄法によるカドミウム汚染水田の実用的浄化技術を確立 ―低コストで水田土壌のカドミウムを除去― (プレスリリース 2010年)
□ カドミ米: 田んぼのカドミウムを減らす (農業と環境 2008年)
□ 食品中のカドミウムに関する情報 (農林水産省のページ)
● 低カドミウム米の作出
⇒ お米からのカドミウム摂取を大きく削減できます
コシヒカリ種子へのイオンビーム照射によって、土壌中のカドミウムをほとんど吸収しない変異体を作り出しました。遺伝子マーカーを開発したことにより、遺伝子組換え技術を使わずに、ほとんどのイネ品種に低カドミウムの性質をもたせることが可能になりました。
汚染土壌で栽培したコシヒカリと低カドミウムコシヒカリの玄米カドミウム濃度(左)と、カドミウム吸収抑制のしくみ(右)
(参考ページ)
□ コシヒカリ環1号を判別できる DNA マーカーとその利用方法に関するマニュアル(ver1.0)を公開 (研究成果情報 2014年)
□ イオンビームを利用した低カドミウムコシヒカリの開発 (研究成果情報 2013年)
□ カドミウムをほとんど含まない水稲品種 「コシヒカリ環1号」 (プレスリリース 2014年)
□ イオンビームを利用した低カドミウムコシヒカリの開発 (研究成果情報 2013年)
□ コメのカドミウム汚染をなくす遺伝子を発見 (研究成果情報 2013年)
□ カドミウムをほとんど吸収しない水稲の開発 (PDF) (農環研ニュース 2013年)
□ 食品中のカドミウムに関する情報 (農林水産省のページ)
● 作物・農耕地土壌における放射性同位体のモニタリング
⇒ 作物・農耕地の放射性物質汚染に対する安全性の確認に貢献
農業環境技術研究所では1959年から、米・麦およびその栽培土壌の人工放射性物質の濃度を、国内各地で測定し、公開してきました。東京電力福島第一原子力発電所事故の際には、そのデータが、農地から玄米への移行係数の決定に活用されました。
作物(白米、玄米)と土壌のセシウム137濃度の推移(左)と調査地点(右)
(参考ページ)
□ 農業環境技術研究所における東京電力福島第一原子力発電所事故関連の2011年の放射能研究 (農業環境技術研究所報告34号 2015年)
□ 情報サイト 農業環境と放射能汚染 (更新を終了しURLを変更しました。2015年4月)(農業環境技術研究所特設サイト)
□ 農業環境中の放射性物質長期モニタリングデータの活用 (研究成果情報 2012年)
□ 農産物の安全性を守る―平常時の放射能をモニタリングし、緊急事態にそなえる― (PDF) (農環研ニュース 2010年)
□ 土の中の放射能:自然放射性物質と人工放射性物質 (農業と環境 2010年)
□ 主要穀類および農耕地土壌の 90Sr と 137Cs 分析データ (データベース・画像情報 2009年)
□ 農業環境技術研究所案内(9):環境放射能の調査研究 (農業と環境 2003年)
● 農地土壌の放射性セシウム濃度分布図の作成
⇒ 農地の除染や営農に向けた取り組みに貢献
東京電力福島第一原子力発電所の事故による農地土壌の汚染程度を知るため、福島県など15都県で調査を行い、3420地点で測定した放射性セシウム濃度と空間線量率から、調査地点以外の農地土壌の放射性セシウム濃度を推定しました。作成した濃度分布図は 「農地土壌の放射性物質濃度分布図等のデータについて」(農林水産省のページ) でダウンロードできます。
土壌の放射性セシウム濃度測定/空間線量率図/デジタル土壌図 (左) をもとに、
放射性セシウム濃度推定マップ (右) を作成
(参考ページ)
□ 平成25年度における農地土壌の放射性物質濃度分布を公開 (PDF)(農環研ニュース 2015年)
□ 農業環境技術研究所における東京電力福島第一原子力発電所事故関連の2011年の放射能研究 (農業環境技術研究所報告34号 2015年)
□ 農地土壌の放射性物質濃度分布図等のデータについて (農林水産省 2014年)
□ 原発事故から1年半 〜 農地の現状(資料) (PDF) (研究成果発表会2012「いのちと暮らしを守る農業環境」講演)
□ 原発事故から1年半 〜 農地の現状(図表) (PDF) (研究成果発表会2012「いのちと暮らしを守る農業環境」講演)
□ 農地土壌の放射性セシウム濃度分布図の作成 (PDF) (農環研ニュース 2012年)
農業と生物多様性
● 茶生産に利用される半自然草地(茶草場)が多様な植物を育んでいることを解明
⇒ 世界農業遺産の認定に貢献
茶草農法によって維持されている半自然草地(茶草場)には絶滅危惧(きぐ)種など貴重な植物が多く生育することを明らかにしました。良質な茶の生産と生物多様性を両立させる農業景観が世界農業遺産の認定時に高く評価されました。
茶草(ススキなど)が敷きこまれた茶園の畝間 (左)、茶園と茶草場の風景 (中)、茶草場に生育するキキョウ(絶滅危惧種) (右)
(参考ページ)
□ 茶草場の伝統的管理は生物多様性維持に貢献 (研究成果情報 2014年)
□ 農業環境技術研究所公開セミナー「生き物のにぎわいを支える豊かな農業」開催報告 (農業と環境 2013年)
□ 「静岡の茶草場農法」が世界農業遺産に認定されました (静岡県掛川市 2013年)
□ 静岡の茶生産が守る貴重な植物 (国連大学 OurWorld 2.0 2012年)
□ お茶生産が守る草原の希少な植物 (PDF)(農環研ニュース87号 2010年)
□ 農業が育むもう一つの自然「茶草場の生物多様性」 (PDF) (研究成果発表会2010 講演資料 2010年)
農業環境資源の研究と理解増進活動
● 農業と関連する昆虫標本の活用
⇒ 農と自然への理解を増進
農業環境技術研究所の昆虫標本館は、国内では最大規模の農業に関連する昆虫標本(約130万点)を所蔵しています。多数の鑑定依頼に対応し、判明した昆虫を新害虫として報告しているほか、次世代を担う子どもたちに昆虫や自然環境・農業への理解を深めてもらうため、昆虫採集や標本作製を指導しています。
昆虫標本館の所蔵標本(左)と平成23年度文部科学大臣表彰(理解増進部門)の受賞者(右)
(参考ページ)
□ のうかんけん昆虫採集教室 2015 が開催された (農業と環境 2015年)
□ 観葉植物ヘデラの害虫ゾウムシを新種として発表 (研究成果情報 2013年)
□ 分類学は、縁の下の力持ち −ワサビの害虫ゾウムシの正体解明− (PDF) (農環研ニュース 2012年)
□ 文部科学大臣表彰を2部門で受賞 (PDF) (農環研ニュース 2011年)
□ 農業環境技術研究所に寄贈された昆虫タイプ標本379点の公開 (研究成果情報 2009年)
□ 北海道内の広域で発生した新害虫はヘリキスジノメイガだった (研究成果情報 2008年)
● ミニ農村の造成と生物多様性の調査
⇒ 農村の生物多様性の理解に貢献
田畑、ため池、林地などからなる実物大の農村環境モデルを造成しました。人間の働きかけによって維持されてきた自然の重要性を明らかにし、農村における生物の保全をめざす取組みに活用されています。
ミニ農村の風景(左)と平成21年度 文部科学大臣表彰(理解増進部門)の受賞者(右)
(参考ページ)
□ 農業環境技術研究所一般公開 2015 が開かれた (農業と環境 2015年)
□ 2部門で文部科学大臣表彰を受賞 (PDF) (農環研ニュース 2009年)
□ 農業環境技術研究所に復活した農業生態系 (PDF) (環境報告書2006 2007年)
□ 生物多様性の保全 (PDF) (環境報告書2005 2006年)
□ 農業環境技術研究所にある小さな農村 (PDF) (農環研ニュース 59号 2003年)
□ 農業環境技術研究所案内(5):ミニ農村 (農業と環境 2003年)
● 「土壌モノリス」作成法の開発と普及
⇒ 「土」への理解増進に貢献
足元にある土壌の断面標本(土壌モノリス)の作成法を開発し、長年にわたって展示や指導によってその普及に努めています。作物生産や環境保全と土壌との関係について国内の研究・理解を推進するとともに、海外の農業試験場や大学の専門家に作成法を指導するなど国際貢献にも寄与しています。
土壌モノリス展示(左)と平成20年度 文部科学大臣表彰(理解増進部門)の受賞者(右)
(参考ページ)
□ 第7回農環研サイエンスカフェ 「土壌は足もとに広がる宇宙」 開催報告 (農業と環境 2015年)
□ つくば科学フェスティバル2008が開催された (農業と環境 2008年)
□ 土壌モノリスで文部科学大臣表彰を受賞 (PDF) (農環研ニュース 2008年)
□ 土壌モノリス館 (PDF) (農環研ニュース 2006年)
□ 土壌モノリスの収集目録及びデータ集 (PDF) (研究所資料 2006年)
□ 土壌モノリスの作製法 改訂版 (PDF) (農業環境インベントリー 2005年)
□ 農業環境技術研究所案内(2):土壌モノリス館 (農業と環境 2002年)