作物研究所は水稲、小麦、大麦、大豆、さつまいもに加え、ゴマなどの資源作物の品種改良と、品種改良のための新技術開発を行っています。また、これらの作物の栽培・生理研究と品質成分の生理遺伝研究を行い、画期的な品種の育成につなげるとともに、低コスト・高品質栽培技術を開発しています。
所長挨拶
私ども作物研究所の活動に対する日ごろからのご協力に対し、心からお礼申し上げます。平成26年4月1日より所長を拝命しました。就任に当たり、ひと言ご挨拶を申し上げます。
国内では、農業の後継者不足、農業経営の法人化、気候変動による作物生産環境の変化、消費者ニーズの多様化など、これまで以上に、農業のあり方は大きな変革の時期を迎えております。一方、国際的には、環境変動による食料生産環境の激変や経済活動による耕地の破壊のなか、2050年には約90億にふくらむ世界人口を支える食料確保が、国際社会の中での日本の役割として、これから私たちが取り組む最大の課題となっています。
このような農業を巡る状況のなか、作物研究所は、日本農業の将来を支える基盤としての品種開発とその利用技術の確立を進めてきました。3つの研究部門、稲研究領域、畑作物研究領域および麦研究領域では、土地利用型耕種農業を支える先導的品種育成と基盤的技術の開発、ブランド化に向けた高品質な農産物・食品の開発を加速するための研究業務を進めています。これまでも、数々の品種を世の中に送り出してきましたが、今後、急速に変化する社会情勢や消費者ニーズに対応するためには、新規品種の開発、品種改良技術の効率化、新たな環境に合わせた栽培技術開発の加速は不可欠です。そのためには所内の研究勢力や資源だけでなく、民間・大学・他独法などの外部機関との連携を深めて、目標実現に取り組みたいと思っております。その取りかかりとして、ゲノム研究の成果を活かした作物育種の加速化が重要であると考えます。これまでも品種開発におけるゲノム情報の利用に取り組んできましたが、近年、急速に充実しているゲノム情報基盤のより迅速な活用のために、ゲノム研究を推進してきた(独)農業生物資源研究所と連携強化による「作物ゲノム育種研究センター」の設立と運営に取り組みます。
国際的および国内の農業を巡る情勢は流動性を増しています。そのなかで作物開発への依存度はさらに増すと考えられます。作物研究所は、これまで以上に存在感のある作物開発の中核研究機関になるべく、職員一丸となり研究に取り組んでまいる所存です。今後とも、皆様方のご支援とご協力を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
平成26年4月1日
(独)農業・食品産業技術総合研究機構
作物研究所
所長 矢野昌裕