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食品ナノテクノロジープロジェクト

(更新:2010年08月25日)

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I-(1)-5 ナノスケールチャネルの製作と微細空間特性の解明

(担当:小林功)


目的

マイクロチャネル(MC)乳化技術のナノスケール化を目的として、サイズと構造が高度に制御されたナノチャネル(NC)アレイを開発する。そして、NC乳化による食用油脂または脂溶性の食品栄養成分を添加した食用油脂を液滴材料とした単分散微細エマルションの精密作製技術を開発する。また、実験的手法と計算機手法(CFD、数値流体力学)によるNC構造および液滴作製プロセスの最適化を図るとともに、NC乳化時における微細空間特性の解明も図る。さらに、NC乳化システムの大型化による単分散微細エマルションの生産性向上を図る。

研究内容

  • 矩形ナノチャネルアレイ

    4列のNCアレイ(矩形NC:計4,000本)が加工された単結晶シリコン製のNC乳化基板を開発した。矩形NCの断面サイズは幅600~1,000nm、深さ250nmであったとともに、矩形NCのサイズが均一であることがレーザー顕微鏡観察により示された。

    図 NC乳化基板の模式図


  • 直接NC乳化

    分散相として精製大豆油を用いた直接NC乳化(図a)を行った結果、平均液滴径が920nmで変動係数6.1%の単分散O/W微細エマルション(図b、連続相:1.0wt%デカグリセリンモノラウレート水溶液)を作製することに成功した。

    図 直接NC乳化の様子(a)、および作製された均一微小油滴(b)


    矩形NC(幅800nm、深さ250nm)とテラス(長さ1,500nm、深さ250nm)を用いた直接NC乳化のCFDシミュレーションを行った。矩形NCとテラスを通過した分散相(精製大豆油)が連続相(水)領域の中で直径約1,000nmの微小油滴へと自発的に変形することを示した。

    図 直接NC乳化プロセスのCFD計算結果


参考文献