縮小 標準 拡大
食品ナノテクノロジープロジェクト

(更新:2010年08月25日)

印刷用PDF
(166KB)

II-(2)-1 水動態のナノスケールイメージング技術の開発と食品素材の機能発現機構の解明

(担当:中西友子)


目的

ナノレベルリアルタイム分子イメージング法により、穀物・野菜・加工食品を対象とし、食品のイメージング・計測や蛍光と放射線の両方の測定が可能な「蛍光・アイソトープ顕微鏡」を開発し、加工適性(加工のしやすさ)や安全性の解析評価に適したパラメーター等を抽出することを目的とする。

図 ダイズ幼植物への32P吸収の連続画像解析

研究内容

  • 元素・化合物のマクロイメージング計測開発

    β線放出核種14C、45Ca、32Pなどを用いた、植物中の元素ならびに標識化合物の超高感度で定量的なリアルタイムイメージング装置の開発を行った。放射線を光に変換する各種シンチレータイメージインテンシファイアをはじめとする高感度光検出器や高分解能化デバイスなどを詳細に検討し、シンチレータには100μmのCsIシンチレータファイバープレートに蒸着したものと、高感度カメラとしてフォトンカウンティングが可能なGaAsPイメージインテンシファイアユニットを採用した。
    その結果、感度の高さは、現在、放射線画像を取得するシステムの中で現在最も感度が高く、解像度も良好と評価されているIPと比較しても、単位時間当たりの検出感度はその10倍以上の高感度であった(当初の目標達成)。また食品分析においてより実用性が高い放射性同位体核種は様々な有機化合物を合成、標識可能な14Cである。14Cでラベルしたグルタミン、アラニン、グリシンなどのアミノ酸の植物体への直接吸収を解析した。

  • 食品イメージングならびにミクロイメージング計測開発

    ナノサイズに加工した小麦粉などの粒子をラジオアイソトープ(RI)標識化合物(たとえば、無機リン酸でナノ粒子の表面をリン酸化するなどが考えられる)、RI標識を行い、標識粒子の細胞への取り込みを解析することを検討し、食品の特性の違いによる浸透過程への影響を評価する為に6種類の粒径の異なる精米粉・玄米粉を準備し、32P水溶液が食品に浸透していく過程を測定・解析した。

    図 無機リン酸(32P標識)の米粉の浸透解析