果樹研究所

一押し旬の話題

2011年6月15日

ウメ「翠香(すいこう)」とビワ「大房」

ウメ「翠香(すいこう)」

suiko_mi東日本では梅雨入りが例年になく早く、今は梅雨の真っ盛りです。
梅雨の晴れ間には梅干しを作ろうという人もいるでしょう。

果樹研究所では、梅干し用ではありませんが、梅酒や梅ジュースに適したウメ新品種「翠香」(すいこう)を育成しました。

梅酒や梅ジュースにすると他の品種にはない良い香りがします。特に完熟果を使用した場合は、酸味が多く香りが強い上質の梅酒や梅ジュースにな ります。近年は味を意識したこだわりのある梅酒などの製造が増加していることから、 「翠香」を使うことで、ウメの消費拡大が期待されます。国内のウメ出荷量のうち、全体の約40%が梅酒などのウメ飲料の加工原料として利用されており、ウメの主要な消費形態となっています。

果実重は35g前後で、「南高」よりもやや小さいですが、種が小さく果肉が多いのが特徴です。果形は楕円形で、果皮色は淡緑色です。果肉色は、成熟に伴って淡緑色から黄色に変化し、完熟果は黄橙色となります。 酸含量は6%程度です。 ヤニ果の発生が比較的多いため、梅干しにするには、品質的に「南高」に劣ります。
果樹研究所(つくば)では、 6月下旬 に収穫できます。

2009年に品種登録の出願を行いましたので、果実が出回るのは数年後をお楽しみにという所です。

ビワ「大房」

oofusaもう一つ、おすすめは、まさに今が旬のビワです。

国内では6,600トンが生産されています。スダチの生産量と同じくらいです。主な産地は長崎県、鹿児島県、香川県、千葉県です。長崎県、鹿児島県では「茂木」「長崎早生」を中心に、千葉県では「大房(おおぶさ)」「田中」という品種が作られています。

「茂木」の系統は細長く、「大房」は丸っこくて、大きいのが特徴です。「大房」は果樹研究所で育成したもので、1917(大正6)年に、「田中」に「楠」を交配し、1967年(昭和42年)に命名登録されました。「大房」は国内ビワ品種の中では寒さに最も強く、千葉県産ビワの主力品種となっています。普通のビワは30~60g程度ですが、「大房」は70~80gあります。

ビワというと種が大きく食べる部分が少ないように思われますが、可食部(皮や種を除いた食べられる部分)は70%くらいあり、なんとバナナの60%より多いのです。

また、機能性成分であるβ-クリプトキサンチンを多く含み、みかんの終わった季節の、重要なβ-クリプトキサンチンの摂取源です。 ビワを食べて、おいしさを楽しむと共に健康になって下さい。

研究センター