果樹研究所

一押し旬の話題

2012年5月15日

オリーブとハゴロモノキ

オリーブ

5月の終わり頃に、オリーブが花を付けます。オリーブは、モクセイ、ヒイラギ、ライラックなどと同じ仲間でモクセイ科の常緑樹です。
我が国へは、文久2(1862)年にフランスから輸入した苗木を横須賀に植えたのが最初とされています。
明治41(1908)年、農商務省が三重、香川、鹿児島の3県を指定してアメリカから「ミッション」と「ネバディロ・ブランコ」の苗木を輸入し試作しましたが、香川(小豆島)だけが栽培に成功しました。
現在では、小豆島と岡山県の一部に地域特産物として生産され、平成18(2006)年では、香川県で栽培面積54ha、収穫量111tとなっています。
オリーブの品種は、果実加工(テーブルオリーブ)用、油用、兼用種に分類され、我が国では、果実加工用として「ミッション」、「マンザニロ」などが導入されています。

収穫したオリーブ果実は1.8~2%の水酸化ナトリウム液に、8~12時間漬けて脱渋します。
その後、2~3日間、水が褐色に変色しなくなるまで水を取り替えて水洗します。あとは、塩水漬けです。
下漬けとして2~3%の塩水に2日程度浸漬します。そして、果実をよく水洗してから新しく調整した塩水に浸漬します。
塩分濃度の目安は果実の保存期間に応じて、12月まで4~6%、翌年2月まで6~8%、4月までは8~10%程度が適しています。

オリーブの木
オリーブの木

オリーブの花
オリーブの花

ハゴロモノキ

ハゴロモノキの木
ハゴロモノキの木

珍しい花を1つ紹介します。
ハゴロモノキの花が果樹研究所カンキツ研究興津拠点で5月下旬から6月上旬にかけて咲きます。
ハゴロモノキ(羽衣の樹)はヤマモガシ科の常緑樹で、オ-ストラリアの原産です。
我が国へは明治末に導入され、果樹研の樹はその時の1本のようです。
葉の裏側に絹のような毛があり、光に当たると白っぽく光り、遠くから見ると羽衣が掛かっているように見えることからハゴロモノキと呼ばれるのでしょうか。
花はオレンジ色の筒型の花を総状に咲かせ、ヘアーブラシのようです。

昭和63(1988)年に和歌山大学教養学部構内の樹が開花して新聞に掲載されました。

ハゴロモノキの花
ハゴロモノキの花

興津の樹は平成5年6月に初めて開花し、以来毎年、見事な花を咲かせています。
名前との語呂合わせからか(三保の松原、羽衣の松)、JRの旧三保線の折戸駅前に植えられています。数年前行った時に花が咲いていました。
熱海にある有名な庭園・起雲閣にも樹齢30年を超す樹がありますが、7年ほど前には、まだ花が咲かないと言うことでした。
今はどうなっているでしょうか?

旬の果物

今、食べ頃の果物は、「清見」「メイポメロ」です。
ハウスミカンも出てきました。ハウスミカンの品種は主に「宮川早生」、「興津早生」です。
そして、早いビワやモモが出てきました。
果樹研では、極早生のおいしいモモを育成しました。「ひめこなつ」です。
平成21(2009)年の品種登録ですが、『モモクリ3年』ですので、早いものではもう市場に出てきて食べられるかも知れません。

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