果樹研究所

一押し旬の話題

2013年7月15日

日向夏とアンズ

日向夏

日向夏 
日向夏

カットした日向夏
カットした日向夏

初夏にはさわやかな香りと味のカンキツ、日向夏(ひゅうがなつ)が似合います。日向夏は食べ方に特徴のある果物です。
他の多くのカンキツの様に、手で簡単 に皮をむくことができますが、果皮と果肉との間にある白い部分(アルベドと言います)もそのまま食べられますので、ナイフなどでリンゴやナシの皮をむく様 に、皮の黄色い表面だけを薄くはいで、中身を適当に切り取って食べます。
日向夏のアルベドは、ふかふかとした食感があり、甘みがあり、果肉の酸っぱさとうまく調和しています。

宮崎県の特産ですが、高知県、愛媛県、熊本県、静岡県、神奈川県など、全国で6,000トンほど栽培されており、小夏(こなつ)、土佐小夏(とさこなつ)、ニューサマーオレンジなどとも呼ばれ、売られています。

日向夏はユズが突然変異したものと考えられており、6月頃に成熟する、極めて晩生のカンキツです。
遅くまで木の上に置けば、酸が下がって美味しく食べられるようになりますが、早く収穫すると酸味が強く、生食できません。

完熟した日向夏は、甘さが控えめで独特の風味が強いカンキツです。
生で食べるだけでなく、マーマレード、ジャム、果実酒、羊羹、せんべいなど、色々加工されて、利用されています。

果樹研究所では、日向夏を交配して、早生の品種として、「はるひ」を2011年に品種登録しました。「はるひ」は、酸の減るのが普通の日向夏よりも非常に早く、2月に熟期となります。糖度も13%程度と高く、適度な酸味と日向夏に似た芳香が特徴の品種です。

アンズ

近頃は、アンズも果物屋さんの店先に出回っています。我が国では2,000トンくらい生産されており、主に、青森県と長野県の両県で栽培されています。 アンズは、桜よりもやや早い時期に、淡紅の花を咲かせ、初夏に梅の様な実を付けます。
長野県千曲市は『アンズの里』としても有名で、花の時期には、多くの人が観光バスなどで花見に訪れます。

アンズは酸の高い品種が多く、通常はジャムや乾燥果物などにして利用されています。
種は杏仁(きょうにん、あんにん)と呼ばれ、咳止めなどの漢方として用いられている他、杏仁豆腐の香りに使用されています。
果樹研究所では、糖度が高く生食に適しているアンズを育成し、2009年に「サニーコット」と「ニコニコット」として品種登録申請していますが、種苗法にお けるアンズの位置づけが決まらず、まだ登録許可に至っていません。でも、生で食べられるアンズは魅力的です。乞うご期待の品種です。

アンズの結実状況
アンズの結実状況

アンズのジャム
アンズのジャム

研究センター