「ぽろたん」はどのように貯蔵したらいいの?
「ぽろたん」は渋皮がむけやすいだけでなく、実が大きくておいしい品種です。このような特性をもつニホングリはなかったため、実を貯蔵した場合の特性の変化についてわかっていません。では、「ぽろたん」の実はどのように貯蔵したらいいのでしょうか。また、貯蔵した実から甘露煮を作った場合、貯蔵温度や貯蔵期間の違いによって、味や外観に どのような違いがでるのでしょうか。
貯蔵したら変わるの?
「ぽろたん」の実は、出荷時期が9月に集中します。少しでも長く貯蔵することができれば、加工産業や家庭においてもっと利用しやすい食材となります。そこで、一般的な貯蔵設備において温度条件をマイナス 1°Cとプラス2°Cで貯蔵し、渋皮のむけやすさの違いとその実を甘露煮に加工した場合の品質の違いを調べました。

図1 マイナス1°C 2ヶ月貯蔵果実で作った甘露煮
チルドの温度帯で。
甘露煮を作るなら、
貯蔵から1~2ヶ月がベター!
1. | 貯蔵した「ぽろたん」の実で甘露煮を作った場合、貯蔵温度がマイナス1°Cの場合は6ヶ月まで、プラス2°Cの場合は4ヶ月間まで、味は変わりませんでした(図2)。また、「ぽろたん」の実は貯蔵期間が長いほど渋皮がむけやすくなることがわかりました。 | ![]() 図2 甘露煮の食味総合評価 |
2. | 貯蔵した「ぽろたん」の実で甘露煮を作った場合、表面に局所的な変色(図1)がみられるようになります。貯蔵温度がマイナス1°Cの場合は2ヶ月で1割、4ヶ月で5?6割ですが、貯蔵温度がプラス2°Cの場合は2ヶ月で2?3割、4ヶ月目以降はほぼ全てに変色がみられました。そのため、表面の局所的な変色を避けるためには、貯蔵期間は1?2ヶ月が適当です。 | |
3. | 貯蔵した「ぽろたん」の実で甘露煮を作った場合、全体的に色が黒っぽくなります(図3)。貯蔵温度が高いほど短い期間で変色してしまいます。そこで、貯蔵した「ぽろたん」の実で作った甘露煮を鮮やかな黄色に保つ方法を開発しました(図4)。 |
[甘露煮の変色防止方法] |
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図3 貯蔵した実で作った 「ぽろたん」の甘露煮 |
図4 「甘露煮の変色防止方法」で作った「ぽろたん」の甘露煮 |
収穫したてのクリは、糖度が3~4%しかなく、あまり甘くありません。でも、この実を低温で貯蔵すると、約1ヶ月で糖度が2倍程度まで上がり、とても甘くなりま す。これは、クリの実に多く含まれるデンプンが、低温で働く酵素によって糖に分解されるためです。そこで、新鮮なクリが手に入ったら、家庭の冷蔵庫のチルド室(0°C付近)に1ヶ月程度入れておくことをおすすめしま す。ふつうの冷蔵室(5°C付近)でも糖度は高くなりますが、カビが発生する可能性がありますので、注意が必要です。また、貯蔵の際は乾燥しないように薄手のビニール袋に入れて、袋の口は折っただけで縛らずに入れておくといいでしょう。