【豆知識】

貯穀害虫・天敵図鑑(この虫何?:解説)

蛾類?

ノシメマダラメイガ
ノシメマダラメイガ

蛾の場合、かなりの高確率でノシメマダラメイガです。ノシメマダラメイガの成虫なら翅の模様(上半分が色が薄く、下半分は赤銅色)で簡単に分かります。

スジマダラメイガ
スジマダラメイガ
スジコナマダラメイガ
スジコナマダラメイガ

スジマダラメイガの成虫は、翅中央部に横に真直ぐの線が入っており、スジコナマダラメイガの成虫は、翅中央部に横にギザギザの線か入っています。

イッテンコクガ
イッテンコクガ
バクガ
バクガ

イッテンコクガの成虫は、翅に点があり、また、バクガの場合は、幼虫が穀粒内で発育します。

成虫の場合、翅の鱗粉がはげて模様が分からない場合は、顕微鏡下で交尾器を観察します。
幼虫の場合でも、顕微鏡下で刺毛気門などを観察することによって識別できます。

その他

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ゾウムシ類?

コクゾウムシ
コクゾウムシ

日本国内では恐らくコクゾウムシと思われます。コクゾウムシは、口吻が長く突き出しており、幼虫は穀物の粒の中で発育します。また、穀物の他にパスタなども加害することがあります。

ココクゾウムシ
ココクゾウムシ

近縁種ココクゾウムシとの識別は小楯板の形や体のサイズで大まかには識別でき、体のサイズの大きい方がコクゾウムシとなります。
正確に識別する為には、顕微鏡下で雄生殖器を観察する必要があります。

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マメゾウムシ類?

おそらくマメゾウムシ類です。

アズキゾウムシ
アズキゾウムシ
ヨツモンマメゾウムシ
ヨツモンマメゾウムシ
インゲンマメゾウムシ
インゲンマメゾウムシ

小豆、ササゲならアズキゾウムシヨツモンマメゾウムシで、インゲンならインゲンマメゾウムシだと思われます。これらは乾燥豆で世代を繰り返す事ができます。
また、エンドウ、ソラマメにはそれぞれエンドウゾウムシソラマメゾウムシが加害します。アズキゾウムシ等とは異なり、畑の豆に産卵し、収穫後、豆から出てくるタイプの害虫であり、貯穀害虫ではないので、乾燥豆で世代を繰り返すことが出来ません。

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カクムネヒラタムシ?

カクムネヒラタムシ
カクムネヒラタムシ

その虫はカクムネヒラタムシかもしれません。体は極めて扁平で、茶褐色の光沢があり体長2mm前後となります。
このグループには数種が含まれますが、体のサイズが小さいために、種の同定は難しいと思われます。

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ノコギリヒラタムシ・コクヌストモドキ?

ノコギリヒラタムシ
ノコギリヒラタムシ
コクヌストモドキ
コクヌストモドキ
ヒラタコクヌストモドキ
ヒラタコクヌストモドキ

ノコギリヒラタムシの場合は、前胸背のふちの形がノコギリ状なので直ぐに分かると思われます。
コクヌストモドキヒラタコクヌストモドキの場合、触覚で識別し、触覚の先端3つの節が大きいのが、コクヌストモドキとなります。
いずれも小麦粉製品が中心ですが、これに限るものではありません。

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シバンムシ、カツオブシムシ?

その虫は、シバンムシかカツオブシムシと思われます。

タバコシバンムシ
タバコシバンムシ
ジンサンシバンムシ
ジンサンシバンムシ

タバコシバンムシは菓子類、香辛料、畳、漢方薬など広い食性を持ちます。
また、ジンサンシバンムシタバコシバンムシよりは発生頻度が低いように思いますが、漢方薬では重要な害虫となっています。

ヒメマルカツオブシムシ
ヒメマルカツオブシムシ
ヒメカツオブシムシ
ヒメカツオブシムシ

ヒメマルカツオブシムシは模様があり、ヒメカツオブシムシは体が長円形で、模様ありません。ヒメマルカツオブシムシは、5月頃キク科の白い花の花粉を食べているのを見ることができます。
カツオブシムシ類は衣類害虫として極めて重要であり、カツオブシのような動物質の食品の害虫としても重要です。

コナナガシンクイムシ
コナナガシンクイムシ

円柱状ならナガシンクイムシ科だと思われます。中でも、コナナガシンクイムシは重要な穀物害虫となっています。

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ゴミムシダマシ類?

コメノゴミムシダマシ
コメノゴミムシダマシ
ガイマイゴミムシダマシ
ガイマイゴミムシダマシ

おそらくコメノゴミムシダマシ等のゴミムシダマシ類だと思われます。穀類の粉を加害し、製粉工場の床面等に普通に見られます。
ここでは1cm以上としていますが、ガイマイゴミムシダマシのような体のサイズの小さいゴミムシダマシも居るので注意してください。

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チャタテムシ、ダニ?

ヒラタチャタテ
ヒラタチャタテ

極小ならチャタテムシかダニだと思われます。チャタテムシ類はダニに比べて動きが速いです。ヒラタチャタテ貯穀害虫として有名です。
ダニは昆虫ではなくクモの仲間です。コナダニ類(ケナガコナダニなど)が貯蔵食品を加害します。

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参考文献

  • 吉田敏治・渡辺直・尊田望之(1989)図説 貯蔵食品の害虫 実用的識別法から防除法まで.全国農村教育協会.東京.268p.

    貯穀害虫に関する一般的な教科書として極めて有用です。様々な貯穀害虫の識別法について詳しく載っています。

  • 広渡俊哉(2004)屋内で見られる小蛾類.文教出版.大阪.105p.

    蛾類について詳しく、日本に分布する貯穀蛾類の交尾器による識別についてはこれ以上の本はないでしょう。

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関連情報

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更新日:2019年2月18日