(更新:2010年08月25日)
Q&A:D-02
Q
ナノテクノロジーを推進した技術にはどのような物がありますか?
A
ナノテクノロジーは様々な技術の集合で、どれが特別重要かを決めるのは困難です。ここでは、原子レベルの構造を観察したり、操作したりすることができる、走査型プローブ顕微鏡(SPM)について簡単に紹介します。
ゲラルド・ビニッヒ博士とハインリッヒ・ローラー博士が1981年に走査型トンネル顕微鏡(STM)を発明し、物体表面の原子配列を見ることができるようになりました。STMは探針を走査しながら物体表面の間のトンネル電流を計測して、物体の表面形状を原子レベルで測定します。ゲラルド・ビニッヒ博士は、トンネル電流の代わりに原子間力を用いた、原子間力顕微鏡(AFM)を1986年に発明し、金属以外の物質も観察できるようにしました。STMやAFMのように、探針を走査して物体表面の形状や状態を計測する顕微鏡を総称して、SPMと呼んでいます。
ナノテクノロジーが意識されてから発見された物質として、フラーレン(1984年にハロルド・クロトー教授、リチャード・スモーリー教授、ロバート・カール教授が発見した炭素60個からなる球形の分子)やカーボンナノチューブ(1991年に飯島澄男博士が発見したグラファイトを丸めた直径数nmの筒状分子)があります。これらの分子は現在SPMを用いて観察できるようになりました。
1989年にドン・アイブラー博士がSTMを使ってXe原子を1個ずつ移動させ思い通りに並べることに成功しました。