だいこん収穫機

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要約

ダイコンを引き抜き、根部から一定の長さで葉を自動切断し、コンテナに収容し、 運搬ができる 自走式の乗用型一斉収穫機である。必要作業人員は、オペレータ1人とコンテナ収 容補助作業者 1~2人であり、コンテナのハンドリングはクレーンで容易に行うことができる。

  • キーワード: ダイコン、葉を自動切断、自走式の乗用型一斉収穫機、クレーン
  • 担当:生研機構・企画部・野菜機械等開発チーム第2
  • 連絡先:048-654-7041
  • 部会名:野菜・茶業
  • 専門:機械
  • 対象:農業機械、ダイコン
  • 分類:普及

背景・ねらい

ダイコンの総労働時間は140h/10a程度であり、特に収穫・調製作業は60h/10a程度と多く、 全作業の45%程度を占めている。 ダイコンの収量は約6t/10aと多量であり、腰を折り曲げて 引き抜き、葉切りをして、運搬する作業は 重労働であり省力化が望まれている。既存の収穫機としては、ダイコンを引き抜いて列に並べ て 置くトラクタ装着用作業機が加工用ダイコンを対象に普及している他、最近、ダイコンを引き 抜き、 機上まで搬送し、作業者が位置合わせをして葉切りをし、コンテナ等に収容する収穫機が市販 され 始めた。しかし、葉切りのための位置合わせに手間を要すため、さらに省力的な収穫機の開発 が 要望されていた。そこで、根部から一定の長さで葉を自動切断できる乗用型収穫機を開発した 。

成果の内容・特徴

  • 開発機は青首ダイコンを対象とした1条用乗用一斉収穫機で、走行部はゴムクローラで、無段 変速、車体水平制御機構を備えている( 図1 、 2 、 表1 )。ダイコンを引き抜き、一定位置で葉を切断し荷台まで自動的に搬送でき、1~2人の補助 作業者により、300~400kgのダイコンをコンテナ又はフレコンに収容できる。また、収穫機に 備えているクレーンでコンテナの積込みと荷降ろしを行うことができる。
  • ダイコンをベルトで挟持して引き抜くが、ダイコンを抜きやすくするために周辺の土壌を破砕 する振動刃を備えており多様な土壌条件に対応できる。また、マルチカッタを備えているため マルチ栽培にも対応できる。
  • 収穫機の作業速度は、コンテナにダイコンを積込む補助作業者の処理能力で規制され、補助作 業者が1人の時は0.7本/s(0.16~0.20m/s)程 度、2人の時は1本/s(0.25~0.30m/s)程度である。作業能率は、コンテナのハンドリングをク レーンで行う場合、オペレータ1人、補助作業者 1人の2人組作業の時2.1~2.9a/時、補助作業者2人の3人組作業の時2.1~3.7a/時である( 表2 )。
  • 正常に生育したダイコンの抜き残しはなく、葉の切断長もほぼ均一で、その切残しも僅かであ る。また、軽微な擦り傷が発生する場合があるが市場出荷に問題はない。
  • 畝高さ25cm以下、条間30cm以上、株間25cm以上に対応できる。

成果の活用面・留意点

  • 収穫機の引抜部位置合わせの運転操作を容易にするため、地上部の根長が斉一になるような栽 培管理が重要である。
  • 平成10年度に高性能農業機械実用化促進事業に移行し、平成10年に市販化された。

具体的データ

図1 だいこん収穫機
図1 だいこん収穫機

 

図2 クレーンによるコンテナ荷降ろし
図2 クレーンによるコンテナ荷降ろし

 

表1 だいこん収穫機の主要諸元

 

表2 作業能率試験結果

 

その他

  • 研究課題名:だいこん収穫機の開発
  • 予算区分 :経常・緊プロ(委託)
  • 研究期間 :平成10年度(平成8~9年)
  • 研究担当者:金光幹雄、太田智彦、諏澤健三、(株)ササキコーポレーション、(株)クボタ
  • 発表論文等:平成9年度生研機構研究報告会資料、
  • 特許出願中(特願平10-050724、特願平10-050725、特願平10-050726)