遠隔地のフィールドサーバに対する簡便で安全なデータ収集技術

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要約

VPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)を用いた広域ネットワーク構築技術により,ADSL,CATV,Air-H"等の既存の常時接続回線を利用して世界各地のフィールドサーバ群を統合管理し,自動巡回ソフトによって観測データをデータベース化できる。

  • キーワード:フィールドサーバ,VPN,ゲートウェイ,セキュリティ
  • 担当:中央農研・農業情報研究部・モデリング研究室,データマイニング研究室
  • 連絡先:電話0298-38-7177、電子メールhirafuji@affrc.go.jp
  • 区分:共通基盤・情報研究
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

各地に多数設置されたフィールドサーバの観測データを統合化して研究や栽培管理に利用するためには,すべてのフィールドサーバがインターネットに安全に常時接続され,データを自動収集し続ける必要がある。しかし,利用できるインターネット回線はADSL,CATVなど地域によって異なり,また農業団体・企業においてはセキュリティ対策上,フィールドサーバをイントラネットへ接続できない場合が多い。そのため,いかなる状況においてもフィールドサーバを安全かつ安定的に接続できる広域ネットワーク構築技術が必要である。また,フィールドサーバをトレーサビリティシステムに利用する場合やフィールドサーバのホットスポットで誰もがインターネットを利用できるようにする場合,データ改竄や不正アクセスを防止する必要がある。

成果の内容・特徴

  • 各地のフィールドサーバのデータを自動収集し,データベース化(形式はXML)するソフト(巡回エージェント)を開発した。VPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)を利用して,多数のファイアーウォールを越えて巡回エージェントと各地のフィールドサーバを安全(セキュア)に接続することができる。フィールドサーバがCATV等のプライベートネットの内部にあっても,フィールドサーバ・ゲートウェイがVPNサーバ(OpnenVPN)への接続を自動的に行うため簡便で安定したVPN接続が可能である。ADSL,Air-H"等のダイナミック・グローバルIPの場合,市販のVPNルータ及びダイナミックDNSの利用によってVPN接続が簡単にでき,その接続を長期間安定的に維持できる(図1)。
  • 従来のトレーサビリティシステムはデータの改竄に対して脆弱であるが,本技術によって現場発生データを生産・流通の当事者ではなく公的機関や消費者,第3者機関が直接管理することができる。これにより,セキュアなトレーサビリティシステムを構築できる。
  • 現在,中央農研(5基),北海道・芽室(4基),栃木県那須(1基),米国Kona(3基)にフィールドサーバが設置され,本方法によってデータの自動収集が行われている。これらのデータはWebサーバ上及びMetBroker経由で簡単に閲覧や利用ができる(図2)。

成果の活用面・留意点

グローバルIPが利用できるADSLでは市販のVPNルータ(ヤマハのRTW-65bなど)でVPN接続できるが,CATVではプライベートIPであるためフィールドサーバ・ゲートウェイ(OpenVPNをインストールしたLinuxマシン)が必要である。

具体的データ

図1 VPN 及びWeb 巡回エージェントによるデータ収集システム

 

図2 リアルタイム収集されている高解像度画像の例

その他

  • 研究課題名:超分散型圃場モニタリングシステムの設計と開発
  • 予算区分:協調システム
  • 研究期間:2001~2003年度
  • 研究担当者:平藤雅之,深津時広,木浦卓治
  • 発表論文等:
    1) Hirafuji, M., T. Fukatsu, Architecture of Field Monitoring Servers, Proc. of the Third Asian Conference for
       Information Technology in Agriculture, pp. 405-409, 2002.
    2) Kiura, T., T. Fukatsu, M. Hirafuji, Field Server Gateway: Gateway Box for Field Monitoring Servers, Proc.
       of the Third Asian Conference for Information Technology in Agriculture, pp. 410-413, 2002.
    3) 平藤雅之,フィールドサーバによる圃場情報モニタリング,農業及び園芸,pp.182-188,2003.