農薬使用判定サーバシステム

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要約

農薬取締法の基準に反する農薬使用を事前に警告し、適正使用を支援するシステムである。農薬使用計画データをインターネット経由で送信すると、農薬取締法で定められた適用条件を満たしているか否かが、農薬登録情報と照合・判定される。もし、不適切な農薬使用がある場合には、警告と共にその理由がパソコンに表示される。

  • キーワード:農薬取締法、農薬適正使用、事前警告システム
  • 担当:中央農研・農業情報研究部・生産支援システム開発チーム、モデル開発チーム、ソリマチ(株)
  • 連絡先:電話029-838-8975、電子メールnanseki@affrc.go.jp
  • 区分:共通基盤・情報研究
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

農薬使用基準が詳細化・複雑化していることに加え、農薬取締法が改正され使用者の基準遵守義務が規定されている。営農現場では、農薬に添付されているラベル表示や都道府県等で作成する防除指針における誤記が明らかになっている。また、特に減農薬栽培を志向する営農現場では、病害虫の発生状況に対応して農繁期に農薬使用計画を絶えず見直す必要があり、確実に使用基準を全て満たす農薬使用計画の作成を人手によって行うことに対する限界と不安も指摘されている。そこで、農産物の生産段階において農薬の適正使用を積極的に誘導・支援する「農薬適正使用ナビゲーションシステム(農薬ナビ)」の開発を行っており、本システムはその中核をなすシステムである。

成果の内容・特徴

  • 農薬検査所から提供を受けている農薬登録情報の全適用条件の内容を分析し、コンピュータによる判定に適した形式に自動変換する方式を考案し、農薬ナビ用農薬登録情報データベース構築を行っている。データ更新は月3回行っている。
  • 農薬の適用条件は15項目以上あるが、適用作物、適用病害虫雑草、本剤使用回数、有効成分の総使用回数、収穫前日数について、どの項目で不適切な農薬使用になるのか、その理由が表示される。また、適正使用のための適用条件を表示することもできる。
  • 直感的に分かりやすい判定結果画面となるように、重要度に応じて警告文に赤色(違法の疑いあり)や黄色(要注意)の記号を付けるなど、表示を工夫している。
  • 農薬ナビ専用のパソコン用「防除指針・農薬使用計画作成支援システム」を用いて農薬使用計画を作成し判定ボタンを押すだけで、インターネット経由で農薬ナビ判定サーバへ農薬使用計画が送信される。このソフトでは、農薬名から農薬登録番号を検索することもできる。農薬ナビ判定サーバでの判定処理後、判定結果が自動的に表示される(図)。簡易な判定は、携帯電話からも利用することができる。
  • 実証試験では1ヶ月間に450名の利用登録があり、本システムに対するニーズの強さが示されている。具体的には、「農薬ナビの利用場面の農薬誤用の警告・防止に大変興味がある(農業改良普及員)」、「このようなシステムが開発途上であることを知れば皆が興味を持つ(生協関係者)」といった利用者の評価がなされている。

成果の活用面・留意点

  • 農薬ナビ判定サーバのホームページから利用者登録することにより、試験運用中のシステムを無料で利用できる。ただし、営利目的の利用は不可。
  • 判定結果は適法性を保証するものではなく、利用者の責任において利用すること。

具体的データ

図 システムの利用イメージ

その他

  • 研究課題名:農薬適正使用ナビゲーションシステム(農薬ナビ)の開発
  • 課題ID:03-04-05-01-15-04
  • 予算区分:研究高度化事業(農林水産省委託研究)
  • 研究期間:2004~2006年度
  • 研究担当者:南石晃明・菅原幸治
  • 発表論文等:南石・菅原(2004)農業情報研究13(4):301-317.