鶏ロイコチトゾーン症の感染防御にCD4陽性T細胞が重要

要約

抗ニワトリCD4あるいは抗ニワトリCD8抗体を用いて,CD4あるいはCD8陽性T細胞を除去した鶏を作出し,Leucocytozoon caulleryiの感染状況および免疫学的変化を調べたところ,鶏ロイコチトゾーン症の感染防御には,CD4陽性T細胞が重要であることが明らかとなった。

  • 担当:家畜衛生試験場 細菌・寄生虫病研究部 寄生虫病研究室
  • 連絡先:0298(38)7749
  • 部会名:家畜衛生
  • 専門:診断予防
  • 対象:鶏
  • 分類:研究

背景・ねらい

鶏ロイコチトゾーン症は,養鶏産業,特に産卵鶏の生産性に被害を与える疾病として問題となっている。従来,薬剤を用いて鶏ロイコチトゾーン症の予防を行ってきたが,食品の安全性およびできるだけ薬剤を使用していない生産物を希望する消費者ニーズから,薬剤に代わる新しい予防技術の開発が望まれている。その一方法として,免疫を利用した予防方法が考えられる。ロイコチトゾーン症に対する鶏の再感染抵抗性は非常に強固で,ごく少量の感染により免疫が付与されると,致死量以上の感染を防御する。その感染防御に細胞性免疫の重要性が明らかにされているものの,詳しい機構については不明な点が多い。そこで,新しい予防技術の開発への一助とするために,更に詳しい細胞性免疫について調べた。

成果の内容・特徴

  • 鶏ロイコチトゾーン症の感染防御に関与しているT細胞サブセットを探るため,抗ニワトリCD4あるいは抗ニワトリCD8モノクローナル抗体を鶏胚14日齢から投与して,CD4あるいはCD8陽性T細胞サブセット除去鶏を作出し,Leucocytozoon caulleryi 感染を行った。初感染において,CD4陽性T細胞除去鶏では,CD8陽性T細胞除去鶏および無処置対照鶏よりも長い間血液中への原虫の出現(パラシテミ ア)が見られた。更に原虫を再感染させると,CD4陽性T細胞除去鶏では,CD8陽性T細胞除去鶏および無処置対照鶏では見られないパラシテミアが見られ た (図1) 。
  • ロイコチトゾーンに対する抗体は,再感染において無処置対照鶏で高く,CD4陽性T細胞除去鶏で低いものの,全群で検出された。しかし,再感染攻撃による血清中への可溶性抗原(血清抗原)の出現は,CD4陽性T細胞除去鶏でのみ見られた  。

成果の活用面・留意点

    鶏ロイコチトゾーン症の免疫を利用した予防方法の開発にあたっては,いかに宿主である鶏の免疫系,特に,CD4陽性T細胞を活性化させるかが重要であると考えられる。

具体的データ

図1 T細胞サブセット除去鶏でのパラシテミア出現状況

その他

  • 研究課題名:鳥類の原虫感染症における細胞性免疫機能の制御機構の解明
  • 予算区分:大型別枠(生物情報)
  • 研究期間:平成6~9年度
  • 発表論文等:
      1.第124回日本獣医学会講演要旨集,p81 (1997)
      2.日本免疫学会総会・学術集会記録,27 : p.331 (1997)
      3.VIIth International Coccidiosis Conference and EU COST820 Workshop, p.94 (1997)