スイカ果実汚斑細菌病の防除を目的とした種子消毒法

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要約

Acidovorax avenae subsp. citrulliによるスイカ果実汚斑細菌病の防除には、30分間以上の0.5M~1.0Mの酢酸溶液処理と80℃で7日間以上または85℃で5日間以上の乾熱処理の組み合わせ処理による種子消毒が有効である。

  • キーワード:スイカ、果実汚斑細菌病、Acidovorax avenae subsp. citrulli、種子消毒、乾熱処理
  • 担当:野菜茶研・果菜研究部・病害研究室
  • 連絡先:059-268-4641
  • 区分:野菜茶業・野菜生産環境
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

1998年に我が国で発生が確認されたスイカ果実汚斑細菌病は、アメリカで甚大な被害をもたらした。このため、我が国では輸入相手国に対して栽培地検査を要求する特定重要病害に指定し、その侵入を警戒してきた。本病において病原細菌(Acidovorax avenae subsp. citrulli、以下Aac)は主に種子で伝染するため、健全な種子を使用することは本病を防除する上できわめて重要である。しかし、本病の防除を目的とした効果的な種子消毒法は開発されていない。そこで、より効果的な種子消毒法を開発する。

成果の内容・特徴

  • 30分間以上の0.5~1.0Mの酢酸水溶液、0.5M~1.0Mのリンゴ酸水溶液への浸漬処理の種子毒効果は高く、発病個体を認めない。この殺菌効果には、酸性強度による殺菌効果以外の要因が関与していることが予測される(表1)。
  • 40℃で24時間の予備乾燥処理後の80℃で7日以上、85℃5日間以上の乾熱処理の消毒効果はそれぞれ高い。この乾熱処理で大きな発芽障害を認めない(表2)。
  • 30分間以上の0.5~1.0Mの酢酸水溶液処理と80℃で7日間以上または85℃で5日間以上の乾熱処理との組み合わせ処理の種子消毒効果は極めて高く、消毒済みの種子を播種した場合に本病の発病を認めない(図1、表3)。この組み合わせ処理後の種子に大きな発芽障害を認めない。

成果の活用面・留意点

  • 本種子殺菌法は、種苗会社でのスイカ種子の消毒技術として使用できる。
  • 種苗会社によって使用する種子乾熱設備、乾熱処理時の種子の包装形態が異なるので、予備乾燥を含めて必要に応じて各会社に適合した処理時間に修正する。
  • 乾熱処理は、相対湿度が低くなる季節に行う。

具体的データ

表1 酸性溶液による種子消毒効果 表2 乾熱処理による種子消毒効果

 

図1 酢酸溶液処理と乾熱処理の組み合わせ処理によるスイカ種子の消毒法 表3 酸性溶液処理と乾熱処理の組合わせ処理による種子消毒効果

その他

  • 研究課題名:種子消毒法の開発
  • 予算区分:行政対応特別研究(スイカ細菌病)
  • 研究期間:1999~2001年度
  • 研究担当者:白川隆、片平晋一(大和農園)、野村毅(萩原農場)、小宮友紀子、我孫子和雄
  • 発表論文等:1) 白川ら(2000)日植病報 66(2):132(講演要旨).
                      2) 野村・白川(2001)関西病虫害研究会報 43:1-6.