プレスリリース
放射性物質吸着資材に関する効果実証試験の結果について

情報公開日:2013年2月28日 (木曜日)

ポイント

  • 土壌中の放射性セシウムの吸着に効果のある資材を明らかにするため、農研機構が民間事業者の開発した資材を公募して実施した実証試験の結果についてお知らせします。

(注意事項)

  • この結果は、実験室内で実施した土壌中の放射性セシウム吸着能力のデータを示したものであり、実際の農地での効果を保証するものではありません。
  • これらの資材を農研機構が推奨するものではありません。
  • これらの資材の施用に当たっては、施用した農地における農産物、土壌環境、地下水の水質等に支障がないことを確認しておくとともに、土壌汚染対策法等関係法令を遵守する必要があります。

概要

農研機構は、土壌中の放射性セシウム(Cs)の吸着に有効とされる資材を公募し、その中から選定した資材の吸着能力を実証する試験を実施しました。これは、東京電力福島第一原発事故により汚染された農地での営農の再開に向けて、農地の放射性セシウムを積極的に除去するとともに、農作物の安全性確保のため土壌から作物への放射性セシウムの移行を低減することが重要であり、民間事業者が開発している様々な資材について、その効果を明らかにすることが必要であるためです。

試験対象に選定した10資材のうち、辞退のあった1資材を除く9資材に関する試験結果を取りまとめましたのでお知らせします。資材応募者が示した土壌への混合割合(混合割合が示されなかった資材については施用量から算出した混合割合)では、一定の効果があることが明らかとなっているゼオライト等と比較して、9資材のうち、1資材で吸着能力が高く、1資材で同等、残りの資材では下回る結果となりました。資材を何も施用しない場合と比較して、すべての資材でいずれかの添加割合、土壌の種類において有意な効果が認められ、全く吸着能力が認められない資材はありませんでした。

試験方法

福島県内で採取した2種類の土壌に資材を添加し、交換性放射性セシウム1)の吸着能力を対照資材であるゼオライト等と比較しました。試験は同一試料について3回実施し、手順は以下のとおりとしました(試験方法の詳細は、「5.その他」のURLにある実証試験の実施要領「別紙2」参照)。

手順

試験結果

資材応募者が示した土壌への混合割合(混合割合が示されなかった資材については施用量から算出した混合割合)(下表中の「資材の添加割合1」)の場合では、対照資材であるゼオライトおよびバーミキュライトに比較して、放射性セシウムの吸着能力(抽出液中の放射性セシウム濃度の低下の程度)が高かった資材は「プルシアンブルーフロアブル30%」、対照資材と同等の資材は「天然鉱物系三種混合ゼオライト」であり、その他の資材では放射性セシウムの吸着能力が対照資材を上回るまたは同等のものは認められませんでした。

また、資材の混合割合が10%(下表中の「資材の添加割合2」)の場合では、放射性セシウムの吸着能力が高かった資材は「プルシアンブルーフロアブル30%」、対照資材と同等の資材は「天然鉱物系三種混合ゼオライト」、「ロックエースZS」であり、その他の資材では放射性セシウムの吸着能力が対照資材を上回るまたは同等のものは認められませんでした。

表1

資材を何も施用しない場合と比較して、すべての資材でいずれかの添加割合、土壌の種類において有意な効果が認められ、全く吸着能力が認められない資材はありませんでした。

(注意事項)

  • この結果は、実験室内で実施した土壌中の放射性セシウム吸着能力のデータを示したものであり、実際の農地での効果を保証するものではありません。
  • これらの資材を農研機構が推奨するものではありません。
  • これらの資材の施用に当たっては、施用した農地における農産物、土壌環境、地下水の水質等に支障がないことを確認しておくとともに、土壌汚染対策法等関係法令を遵守する必要があります。

その他

実証試験の実施要領は農研機構のホームページに掲載(URLは以下のとおり)。

http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/files/press20121025.pdf [PDF:409.0KB]

 用語の解説

1)交換性放射性セシウム:
土壌の陽イオン交換基に吸着した放射性セシウムのことであり、他の陽イオンと容易に交換され、土壌中に遊離されやすい。資材に効果があれば、交換性放射性セシウムは資材に吸着されるので、抽出液の放射性セシウム濃度は低下する。

2)1M酢酸アンモニウム溶液:
1リットルの水に1モルの酢酸アンモニウムを溶解した溶液。交換性放射性セシウムなど土壌中の交換性陽イオンを抽出するために一般に用いられる。

3)Ge半導体検出器:
放射性物質から放出されるガンマ線を測定するために用いられる検出器。

法人番号 7050005005207