「旬」の話題

今が旬の「ネギ」のお話

negi1s.JPG鍋物がおいしい季節になりました。今回は鍋物には欠かせない野菜「ネギ」のお話です。

ネギにもさまざまな種類がありますが、一般的な根深ネギ(白ネギ)の収穫・出荷量がピークを迎えるのが冬です。また、寒さによって甘味が増すため、味覚の上でも今が旬といえます。

どこから来たの?

ネギは、ユリ科ネギ属の多年生草本です。原産地は中国北西部とされ、ネギの祖先種は2000年以上前から栽培されていました。土寄せをする根深ネギの栽培方法も紀元前の中国ですでに始まっていたと言われています。中国で生まれたネギは、5世紀には日本に伝わり、すぐに重要な野菜のひとつとして広く栽培されるようになりました。

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たくさんあるネギの種類

ネギの栽培品種は形態的、生態的特性から加賀群、千住群、九条群の3つに大別できます。

  • 加賀群
    冬になると地上部が枯れて休眠するため、耐寒性が強く、積雪下の越冬率が高い品種群です。東北、北陸など寒い地域で多く栽培されています。分げつ(株が何本にも分かれること)が少なく、白い部分が太いのが特徴です。有名な下仁田ネギなどはこの品種群に該当します。
  • 千住群
    関東地方を中心に成立した品種群で、土寄せを行い軟白させ根深ネギ(白ネギ)として用います。 黒柄系、合柄系、その中間の合黒系などがあります。市販されている根深ネギはほとんどがこの千住群の品種です。
  • 九条群
    分げつ数が多く、葉鞘(白い部分)は短いが葉身(緑色の部分)は長く、やわらかで辛みが少ない品種です。葉ネギとして西日本で多く栽培されています。

さらに詳しく分類したのが以下の表です。日頃なにげなく食べているネギに、こんなにたくさんの種類があるとは驚きですね。

ネギの種類

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『ネギの絵本』小島昭夫・安藤利夫編(農山漁村文化協会)より引用

ネギの収穫量ベスト10

関東三県が上位を占めていますが、日本各地で幅広く栽培されていることがわかります。

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資料:農林水産省「平成20年産秋冬野菜、指定野菜に準ずる野菜等の作付面積、収穫量及び出荷量」

コンパクトで葉身部分までまるごとおいしいネギ新品種「ふゆわらべ」

ここでは、農研機構野菜茶業研究所が育成した最新のネギ品種「ふゆわらべ」をご紹介します。

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「ふゆわらべ」の主な特徴

短くて使いやすい

買い物袋にぴったり収まるコンパクトサイズで、冷蔵庫にもそのまま収納できます。また、少人数でも残さず使いきれるというメリットもあります。

おいしい

辛味が少なく、軟らかいため、葉身部分までまるごとおいしく食べることができます。

栽培しやすい

丈が短いので土寄せ作業などが減り、従来のネギよりも栽培期間が短く、省力的な栽培が可能です。

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育成の背景・経緯

一般的な根深ネギでは、白くやわらかい葉鞘部を30cm以上確保するため、栽培期間中に5~6回の土寄せ作業を必要とし、作業の省力化が課題となっています。また、種をまいてから収穫まで8か月以上におよぶため、病虫害や気象災害の影響を受けやすいことも問題となっています。

その一方で、買い物袋や冷蔵庫に収納しやすく、少人数でも消費しやすいコンパクトなネギへのニーズが高まっています。

そこで、これらの課題や消費者のニーズに対応するため、丈が短く肥大が速いことに加え、辛味が少なく食味に優れ、葉鞘とともに葉身も食べられる品種の育成に取り組みました。